PR
PR

原発60年超運転 安全性軽視の無理筋だ

[PR]

 政府が原発運転の法定期間「原則40年、最長で60年」の延長を検討している。

 自民党や経済界の一部が求める新増設や建て替えは、世論の強い反発が予想されるためだ。

 推進派はこれまでの投資が無駄にならないと主張する。

 だが補修や点検を強化しても原子炉など基幹部分の経年劣化の恐れは残り、不安は消えない。

 福島第1原発事故の反省を踏まえ、2012年に40年ルールを設けたのは、原発の安全性に対する危惧からではなかったか。

 科学的な観点で決めたルールを経済性で覆し、原発の延命を図るのは認められない。原発は運転40年で廃炉にするのが筋である。

 政府は原則40年を長期化したり1度だけ認められている延長を複数回可能にしたりする案や、上限を撤廃する案を検討している。これらを盛り込んだ原子炉等規制法の改正案を来年にもまとめる。

 参考にするのが最長80年運転を認める米国など海外の事例だ。

 だが日本は世界有数の地震国である。地質など災害を巡る環境が異なる海外の状況を恣意(しい)的に援用することは危うい。

 気になるのは、法改正が不要とみられる案も検討されていることだ。運転期間から原子力規制委員会の審査で停止していた期間を除くという。

 国会での本格的な議論を避ける手法は、原発に対する国民の懸念に向き合う姿勢に欠ける。

 運転開始から44年を超えて再稼働した関西電力の美浜原発3号機(福井県美浜町)が営業運転を始めた。ほかに全国3基が40年超運転の安全性審査に合格している。

 これらの審査で、規制委は運転延長の認可期限を意識して他の原発に優先して審査するなど、再稼働を進めた当時の安倍晋三政権の意向を忖度(そんたく)するかのような姿勢が目立った。

 政府は2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目標に掲げる。

 達成が危ぶまれる場合、60年超運転に関する安全対策や点検などの審査が厳格化されても、脱炭素を名目になし崩し的に運転を認める可能性は否定できない。

 原発の発電コストは事業用太陽光をすでに上回っている。廃炉や安全対策の費用増で今後さらに高まるのは確実とされる。

 一日も早く原発に見切りを付け、再生可能エネルギーの拡大に全力を挙げることこそ、長い目で見れば経済的であることを政府は認識すべきである。

PR
ページの先頭へ戻る