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JR北海道の経営自立遠く 国の監督命令から3年

 経営難のJR北海道に、国が経営改善を求める監督命令を出してから27日で3年になる。命令を受けてJRが策定した2031年度までの長期経営ビジョンは、新型コロナウイルスのような感染症拡大による利用者の激減を想定しておらず、目標の「31年度に経営自立」に向けた軌道修正が課題。一方、国が本年度から1千億円以上の巨額追加支援に乗り出したことで、経営改善の意識が緩むと懸念する声もあり、専門家は国による監督強化が必要と訴えている。

■コロナで利用客減 追加支援で緩み懸念

 「3年前に描いた状況とはほど遠い。監督命令の効果がどの程度出たか、コロナ禍で見えなくなった」。国土交通省幹部は、21年3月期連結決算で過去最悪の800億円超の営業赤字を出したJR北海道の現状を憂慮する。

 監督命令は、JRに「徹底した意識改革と経営努力を履行させる」(当時の石井啓一国交相)のが狙い。JRは命令に基づき、19~23年度を集中改革期間と位置づけ、目標を毎年度定めて経営改善を進めている。国はそれと引き換えに、昨年度までの2年間で約400億円を支援した。だが、19年度に達成できた目標は6項目のうち2項目。20年度は10項目のうち4項目で、残りはコロナ禍を理由に目標自体を定めなかった。

 JRが長期経営ビジョンで掲げた、国の支援なしに経営を31年度に黒字化する「経営自立」も実現は見通せない。ビジョン策定当時は道内を含め国内の外国人観光客が急増。このためJRは、ホテル開発や新千歳空港のアクセス強化など観光客頼みの施策を経営改善策の柱に掲げた。だが、コロナ禍で観光客は激減し、ビジネス客の需要も減った。

 それにもかかわらず、JR北海道はビジョンを見直す姿勢を示していない。背景には、コロナ禍を受けて国が本年度から3年間行う総額1302億円の追加支援措置がある。JR幹部の一人は「計画を変えなくても良いように、国から支援してもらったという理解だ」と言い切る。国はさらに24年度以降も30年度まで7年間支援する方針だが、国交省内には「支援の長期化は経営再建への危機感の希薄化につながりかねない」と不安視する声もある。

 一方、他の鉄道各社は「需要は簡単には戻らない」として、コロナ後を見据えた生き残り策を模索している。JR東日本などは利用者を取り戻そうと、料金を時間帯で変える新制度の検討を本格化。西武鉄道を傘下に置く西武ホールディングスは財務内容の改善のため、札幌プリンスホテルなどの売却を検討している。

 北大公共政策大学院の石井吉春客員教授は「JR北海道は国の支援がある分、他社より危機打開の歩みが遅い。国はより厳しい目を向けていく必要がある」と指摘する。(加藤千茜、酒井聡平)

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