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コロナ下で五輪開幕 人間の尊厳を大会の礎に

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 東京五輪がきょう、8月8日までの日程で開幕する。

 新型コロナウイルスの世界的大流行で1年延期された。

 海外客の入国は認めず、東京には4度目の緊急事態宣言が発令され、大半の会場が無観客となった。異例ずくめの大会である。

 人権問題で開会式の演出担当者が直前のきのう解任され、混迷はさらに深まっている。

 コロナ禍で平穏な日常を奪われ、大会を素直に喜べない人も多いのではないか。

 感染が拡大する中での巨大イベント開催に国民の疑問は今なお根強い。選手や大会関係者に陽性判明が相次ぎ、感染対策には不備が目立つ。

 開催に突き進んだ国際オリンピック委員会(IOC)や日本政府、大会組織委員会と、不安を抱く日本の国民、世界の市民との間には深い溝が生じた。

 誰のための、何のための大会なのか。

 五輪憲章は、人間の尊厳を保つことに重きを置く平和な社会の確立を目的に掲げる。

 主役である選手たちや、大会に思いを寄せる人々の安全安心が何より優先されなくてはならない。

■不公平な開催反省を

 各国・地域の選手たちのこれまでの道のりは曲折の連続だったはずだ。1年の延期でモチベーションの維持に苦心しただろう。

 感染状況の悪化で十分な練習ができなかった人もいよう。検査や行動制限など制約も多い。

 一部の国は参加せず、出場を取りやめた選手も少なくない。

 陽性と分かり、棄権に追い込まれた選手も出ている。

 新たな感染症が拡大する中で開催を強行したことで、不完全かつ不公平な大会となった。主催する側は厳しく反省すべきだ。

 国民の多くは自宅での観戦を余儀なくされよう。札幌での競歩、マラソンも沿道での声援は自粛が求められている。

 テレビなどを通じてアスリートの活躍を心にとどめたい。

■感染拡大回避が必要

 緊急事態宣言下の東京では感染が急拡大し、延期前に比べ状況は改善するどころか悪化している。

 夏休みの人出が重なり、来月には東京で危機的な状況になると見通す専門家もいる。

 感染拡大傾向は道内も同じだ。

 政府が感染対策の決め手とするワクチン接種の遅れが響いた。

 予断を許さない中、選手や大会関係者には、外部との接触を遮断するバブル方式という感染対策が適用されている。

 だが水際対策の甘さに加え、宿泊先での行動管理が難しいなど欠陥が次々と表面化している。

 大会に起因する感染拡大は何としても防がねばならない。

 酷暑の首都圏で大規模な交通規制が始まり、運輸や患者搬送など市民生活への影響が出てきた。規制は札幌でも敷かれる。

 五輪が開催国にもたらすのは負担と混乱ばかりのようにみえる。

 国民の命と健康、生活を守るのは菅義偉首相をはじめ、政府の責務であるはずだ。

 専門家の間には、感染が深刻化した場合には中止も含めた強い措置が必要との声もある。

 状況を見極めた上での的確な判断が求められよう。

■「分断」が懸念される

 五輪に政権維持や景気浮揚の効果を見いだそうとした政府の思惑はあまりに甘かった。

 菅内閣の支持率は低下し、与党内からは菅氏を衆院選の顔とすることに疑問も出ている。

 大会スポンサーに名を連ねる企業が次々と五輪に関するCMを取りやめ、各社トップは相次ぎ開会式への欠席を決めている。五輪との関わりがビジネスにマイナスと判断したからだろう。

 解任された演出担当者は過去にユダヤ人大量虐殺をコントの題材にしていた。

 森喜朗前組織委会長の女性蔑視発言や、楽曲担当者のいじめ問題と合わせ、日本の人権感覚を疑わせる深刻な事態だ。

 IOCのバッハ会長は、広域移動の自粛が求められている中で東京から被爆地の広島を訪問し、国民感覚とのずれをあらわにした。

 IOCを巡っては、施設整備の巨額負担にとどまらず、命と健康に関わるリスクまでも開催国に押しつける独善的な姿勢が浮き彫りになっている。

 開催を進める立場の人々に、友情、連帯、フェアプレーといった五輪の精神を度外視するような言動が目に余る。

 このままでは分断を象徴する五輪となりはしないか。

 「人類が新型コロナに打ち勝った証し」といったにわか仕立ての大義を追い求める前に、人が人として尊重される当たり前の姿を示す大会を目指すべきだろう。

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