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<デジタル発>「現在を撮る」番外編 コロナ禍のまちで奮闘 新人エッセンシャルワーカー

 私たちの日常生活に欠かせない仕事を担う「エッセンシャルワーカー」として新たな一歩をスタートした「社会人1年生」たちを、サタデーどうしん<現在を撮る>(紙面は5月22日付朝刊、電子版は同日配信)で紹介しました。新型コロナウイルスが流行し、終わりが見えない中、どんなことを感じているのか。紙面で伝えきれなかった帯広市の保育園、札幌市の青果店、室蘭市の火葬場で働く新人3人の思いを振り返ります。(文・写真/写真部 大石祐希)

■「小さい頃からの夢」 保育士 河瀬未唯さん(20)


園児に昼食を食べさせる新人保育士の河瀬未唯さん=以下、いずれも4月27日、帯広市の川西保育所で
園児に昼食を食べさせる新人保育士の河瀬未唯さん=以下、いずれも4月27日、帯広市の川西保育所で


 帯広市の川西保育所に勤務する河瀬未唯さん(20)。帯広市の南隣にある十勝管内中札内村で生まれ育った。父の姉や母の妹も保育の現場で働いている。身近にその存在を感じていたためか、保育士は小さい頃からの夢。小学生の時から四つ下の妹をはじめ、同級生の弟や妹ら年下の子たちの面倒を見ることが好きだった。帯広の短大を卒業後、「地元の力になりたい」と帯広保育事業協会に就職し、4月から川西保育所に勤務している。

 園内では、元気盛りの3~5歳の園児たちに囲まれて日々を過ごす。おもちゃで一緒に遊んだり、絵本を読み聞かせたり、散歩、給食、昼寝の準備。笑顔で何回も「遊んで」とお願いされることもあれば、機嫌が悪くて駄々をこねる子もいる。「まだ経験の浅い先生たちの言うことを聞かない子もいます。注意するときはしっかり言わないと危ないことも多いので、甘い顔ばかりはできないです」

 時間はあっという間に過ぎ、体力勝負でもある。苦労することも多いが、「子どもの成長スピードには感動します。昨日、できなかったことができるようになったり。目が離せないですね」と表情がやわらぐ。

 私生活を含め、手指消毒などの感染拡大対策は欠かさない。コロナ禍の終わりは、いまだ見えないが、「成長を支える役目を担っている保育士の一人として、(感染拡大防止など)当たり前のことを当たり前にしていきたい」。新人ながら、その姿が頼もしく映った。

㊧園児と笑顔でふれ合う ㊨園児のそばで昼食の準備する
㊧園児と笑顔でふれ合う ㊨園児のそばで昼食の準備する

㊤周囲に気を配りながら、散歩する園児たちを誘導する ㊦屋外の散歩のため、園児の着替えを手伝う
㊤周囲に気を配りながら、散歩する園児たちを誘導する ㊦屋外の散歩のため、園児の着替えを手伝う

㊧園児に絵本を読み聞かせる ㊨駆け寄ってきた園児を笑顔で抱きしめる
㊧園児に絵本を読み聞かせる ㊨駆け寄ってきた園児を笑顔で抱きしめる


■「頑張っている人、支えたい」 青果店店員 白崎健治さん(41)


夕方のピークに向け、店内の品出しをする新人従業員の白崎健治さん=以下、いずれも4月22日、札幌市北区の八百丸・北25条店で
夕方のピークに向け、店内の品出しをする新人従業員の白崎健治さん=以下、いずれも4月22日、札幌市北区の八百丸・北25条店で


 今年1月から札幌市北区の青果店「八百丸北25条店」で働き始めた白崎健治さん(41)。子どもの頃は体が弱く、いじめも経験した。「(自分をいじめた彼らに)できないことをやってやろう」。熱中したのがギターなどの音楽活動だった。ライブハウスで演奏するなど、社会人生活の中の約12年はプロとしても活動。音楽を生きがいとしていた。しかし、コロナ禍によりライブはできず、働いていた会社も辞めた。

 毎日のように流れる国内外のコロナ禍のニュース。それを見聞きする中、命の大切さを改めて感じていた。自問自答する日々。そして、命に直結する食品業界への興味が湧く。「自分にもできることで、生活を支える仕事がしたい」。そんな思いを強くし、友人の紹介で、この店へ就職した。

 新型コロナの猛威が続く中、不特定多数の人と接する小売業で働く。だが、不安なのは、うつされる怖さではなく、うつしてしまうのでは、という怖さ。手指消毒を徹底の上、素手ではなく手袋を着用して食品を扱うなど、感染防止対策に終わりはない。

 今は社員ではなく見習い期間中だが、接客の面白さを日々感じている。ただ、うわべの知識で売るだけじゃなく、感じた味や食感の違いなど、自分の実体験をもとに、そのお客さんに合った提案をしていきたいと考える。「あなたのおすすめがおいしくて、また買いに来た」「いつも頑張ってるね」。何げない会話が原動力となって、もっと勉強しようという気持ちを支える。

 青果の奥深さや、人々の健康につながる八百屋の仕事に誇りを持っている。「たとえ(自分が)おじいちゃんの見習いになっても、社員かどうかの立場に関係なく今の仕事を一生続けたい」と意気込む。

 八百丸の山口鉄平部長(42)は、「うちの店は地域密着が特徴。お客さんたちを実の家族のように思う『距離の近さ』を意識して、日々の食生活をサポートできる存在になってほしい」。そう期待しながら見守る。

 「食材を通じ、世の中で頑張っている人たちを陰から支えたい」。今日も元気よく店頭に立つ。

㊧品出し後の段ボールを頭で支えながら運ぶ ㊨入店するお客さんのため、店の買い物かごを用意する
㊧品出し後の段ボールを頭で支えながら運ぶ ㊨入店するお客さんのため、店の買い物かごを用意する

㊧品出しをしながら、展示ディスプレイを整える ㊨品出し後の段ボールを抱きかかえながら運ぶ
㊧品出しをしながら、展示ディスプレイを整える ㊨品出し後の段ボールを抱きかかえながら運ぶ


■「大切な人との別れに向き合う遺族の力に」 火葬場職員 秋保裕香さん(37)


火葬炉内を特殊な大型掃除機で清掃する新人火葬場職員の秋保裕香さん=以下、いずれも4月19日、室蘭市の神代火葬場で
火葬炉内を特殊な大型掃除機で清掃する新人火葬場職員の秋保裕香さん=以下、いずれも4月19日、室蘭市の神代火葬場で


 室蘭市の神代(かみしろ)火葬場に勤務する秋保裕香さん(37)。高校を卒業する時、ソフトボールか、介護の世界に進むかで迷った。「身体が動く今のうちに」とソフトボールを選び、道内外の実業団やクラブチームを渡り歩きながら打ち込んだ。そのソフトボールに一区切りを付け、もう一つの選択肢だった介護の世界に飛び込んだのは22歳の時。札幌の介護施設で長年、高齢者たちに寄り添った。

 そんな中、介護していた利用者たちの死を見届ける。おのずと「人の最期に寄り添う仕事に強い関心を抱いていった」という。今年4月、富山県を拠点に全国で火葬場の運営を手がける「五輪(ごりん)」に入社し、室蘭市の神代火葬場で働き始めた。

 業務は収骨や火葬をはじめ、事務や清掃など幅広い。早く一人前になりたいと出社時間を早め、収骨の仕方や台車の運び方など可能な限り「自主練習」に励む。

 五輪の札幌支店長の菅原澄雄さん(59)は「もともと力仕事が多いのに加え、コロナで、これまでと違う対応を求められる場面もあるが、秋保さんならではの細かさや気配りを大切にしながら自立していってほしい」と期待する。

 新型コロナによる感染拡大を防ぐため、葬儀の規模の簡素化も進む。感染者が亡くなった場合、遺族らが収骨できるようにするかどうかについて、道内の公営火葬場でも対応が割れる。

 だが、死は誰しもに訪れる節目。火葬場で涙ぐむ遺族から「よろしくお願いします」「ありがとうございました」と声を掛けられるたび、最期を託される自分の仕事に責任とやりがいを感じる。

 「大切な人との別れに向き合う遺族の力になっていきたい」

㊤炉前室内で、本番に向けた練習を積み重ねる ㊦場内の廊下を入念に清掃する
㊤炉前室内で、本番に向けた練習を積み重ねる ㊦場内の廊下を入念に清掃する

㊧火葬炉内を特殊な大型掃除機で清掃する ㊨火葬場の入口前で、先輩職員とともに深々とお辞儀をする(右から2人目)
㊧火葬炉内を特殊な大型掃除機で清掃する ㊨火葬場の入口前で、先輩職員とともに深々とお辞儀をする(右から2人目)

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