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JR制動不能 点検規定不備が問題だ

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 JR函館線で先月、保線作業用車両のブレーキが作動せず、遮断機が開いた踏切2カ所を通過し約7・6キロ走行した問題でJR北海道は緊急点検の結果を発表した。

 作業車186台中10台に不具合があり、うち2台は問題車両と同様に制動不能状態だったという。

 トラブル発生は深夜で通行量が少なかったとはいえ、一歩間違えば衝突事故の可能性もあった。

 不具合を見逃したのでなく、該当する部品の点検を規定化していなかった。事態は一層深刻だ。

 10年前の石勝線特急脱線炎上事故以降、多くのトラブルと隠蔽(いんぺい)、検査のずさんさが批判を浴びた。

 JRは反省し「安全第一」を誓ったはずだ。だが、実態はお粗末なままで、抜本的な安全体制見直しが不可避といえる。国も積極関与する役割を果たしてほしい。

 トラブルは大沼―七飯間の下り急勾配で起きた。社員3人を乗せた車両が最大時速80キロで走行し自然停止した。けが人はなかった。

 JRによると、車輪に金属部品を押しつけ制動するシリンダーが伸びきった状態だったという。

 島田修社長は先月の会見で「(点検)ルールそのものが現状はない」と述べた。安全確認の根幹が作業員任せなのは驚くばかりだ。

 保線職場は中堅が少なく技能の伝承が難しいという。なおさら細部のルールは不可欠なはずだ。

 JR北海道はかつて運転士によるミス隠蔽目的の自動列車停止装置(ATS)破壊や、貨物列車脱線を巡るレール検査データ改ざんなどで国から監督命令を受けた。

 これに対し「鉄道の安全の基本は『ルールを守る』こと」を掲げて社員の意識向上を図った。国の財政支援を受け、計画的な設備投資・修繕も実施している。

 だが、そもそもルール順守は当たり前で、実効性があるかを絶えず検証することが鉄道事業者の責務だ。JR各社の協力も求め、早急に見直しを進める必要がある。

 気がかりなのは国の対応だ。7年前には常設の保安監査体制を整え事故防止に主眼を置いていた。

 だが、3年前に出した2度目の監督命令では経営安定の方に関心が移ったようにみえる。原点に戻り厳格な監査を実施すべきだ。

 JRも国の意を受け「単独では維持困難」とした赤字区間の廃止や地元負担増に経営を注力する。

 これでは本末転倒だ。いかに赤字を減らしても事故やトラブルが多発すれば、乗客の信頼を失い大幅な減収につながってしまう。このことを肝に銘じてほしい。

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