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<回想の世界一周 僧侶の宗教見聞録>4 イスラエルのヨルダン川 静かな流れ、洗礼の人々

 今回、紹介するのはイスラエルの洗礼の聖地ヨルダン川です。ヨルダン川はイエス・キリストが洗礼者ヨハネによって洗礼を受けた地とされ、現在も多くの信者が訪れる重要な聖地となっています。

洗礼のため訪れていたクリスチャンのグループ
洗礼のため訪れていたクリスチャンのグループ

 ヨルダン川はエルサレムから車で東に約1時間30分ほどの距離です。エルサレムを出るとそこはもうイスラエルの砂漠地帯。ただ、砂漠といっても私たちが想像するようなアラブのさらさらした砂の大地ではありません。イスラエルの砂漠は、むき出しの岩肌の丘が重なり合ったような風景です。道中、家畜を引き連れたアラブの遊牧民ベドウィンにも出会いました。

エルサレム郊外、車窓から見た岩肌むき出しのイスラエルの砂漠地帯
エルサレム郊外、車窓から見た岩肌むき出しのイスラエルの砂漠地帯

 さて、ヨルダン川に到着です。巡礼者のための施設を通り抜け川岸へと向かいます。ヨルダン川はイスラエルとヨルダンの国境線にもなっている川です。かなり大きな川を想像していたのですが着いてびっくり。思っていたよりもかなり川幅は狭く、茶色く濁った水が穏やかに流れていました。目と鼻の先にある対岸はすでにヨルダン領です。

 階段を下りていくとヨルダン川の川面まで行くことができます。私はここから先へは行きませんでしたが、洗礼を受ける人は川の中へ入っていきます。私が着いた時は、ちょうどクリスチャンのグループが洗礼式を執り行っていました。本来は川に全身入るのだそうですが、このグループでは神父さんがおのおのの頭に川の水をかけ洗礼を行っていました。

ヨルダン川のほとり。すぐ近くに見える対岸はヨルダン領
ヨルダン川のほとり。すぐ近くに見える対岸はヨルダン領

 先に述べましたが、この地は洗礼者ヨハネがイエスに洗礼を授けた聖地として知られています。洗礼者ヨハネはイエスに先立ち、このヨルダン川で神の教えを説いていた人物です。「新約聖書」によると、ヨハネは人々にこのように告げていました。

 「悔い改めよ。天の国は近づいた」

 この有名な言葉によってヨハネはメシア(救世主)、すなわちイエス・キリストが間もなく現れることを表したのでありました。

 イエスはヨハネから洗礼を受けた後、神がハトの姿となって自分のもとに降りてくるのを見ました(神が人間の世界に干渉するときはハトの姿や虹の姿などをとります)。そして「これはわたしの愛する子、わたしの心にかなう者」という声を聞くことになります。この出来事によりイエスは自分が神の子であると確信を抱くようになりました。だからこそ、ここがキリスト教の聖地として重要視されているのです。

ヨルダン川に向かう道中で出会ったアラブの遊牧民ベドウィン
ヨルダン川に向かう道中で出会ったアラブの遊牧民ベドウィン

 「美しい川」という言葉を聞いた時に、みなさんはどのような川を思い浮かべますか。いろいろな姿の川があると思いますが、きっと透明で澄んだ川を想像するのではないでしょうか。私もその一人です。ですが、この茶色い色をしたヨルダン川を眺めていると、その想像とは裏腹に、この川がとても美しく感じられたのでした。

 川岸の緑の合間から穏やかに注ぎ込んでくる水の流れ。乾いた大地の隙間をヨルダン川は静かに流れていきます。

中央に見える緑の間をヨルダン川は流れている
中央に見える緑の間をヨルダン川は流れている

 ここでイエスが洗礼を受けてから2千年が過ぎた今も、多くの人がここを訪ねてきます。この川の流れはどれだけ多くの人たちの思いを受け入れてきたのでしょう。そのことに思いをはせると、この川の持つ重みを感じました。(函館錦識寺僧侶・上田隆弘)

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