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<デジタル発>元機関士らが語るSLの魅力

 北海道で最初に蒸気機関車(SL)が走った1880年(明治13年)から、旧国鉄最後の1両が引退する1975年までSLは陸上輸送機関の主役だった。今も走り続ける鉄道の歴史は、北海道の近現代史そのものだ。釧路市立博物館学芸員で鉄道ファンの石川孝織さん(46)に北海道唯一となった現役SLの価値を、元機関士で「名物ガイド」の小林保則さん(74)にSLの魅力と運転の面白さを、それぞれインタビューした。(聞き手/厚岸支局・山村晋、写真/釧路報道部・加藤哲朗)

たき口から火床の様子を見ながら、小型シャベルで石炭を投げ入れる機関助士=2021年2月22日、釧路市のJR北海道釧路運輸車両所
たき口から火床の様子を見ながら、小型シャベルで石炭を投げ入れる機関助士=2021年2月22日、釧路市のJR北海道釧路運輸車両所


釧路市立博物館学芸員 石川孝織さん(46)


小回りきく「万能選手」

 釧路市立博物館の石川孝織学芸員(46)は蒸気機関車C11形171号機を「北海道の鉄道史を背負う存在」と捉え、記録写真や元機関士への聞き取り調査を進めている。そこから見えてきた冬の湿原号の価値とは―。

 いしかわ・たかおり 1974年東京都出身。慶応大学大学院理工学研究科博士課程単位取得。幼少期から鉄道に関心を寄せ、2006年に釧路市立博物館の産業担当学芸員となる。著書に「釧路炭田 炭鉱と鉄路と」など。


 ――この蒸気機関車の価値を教えてください。

 石川さん C11形は全国で381両が製造された名機関車の一つです。小回りが利き、タンク式のため転車台がなくても後ろ向きで走れます。道内ローカル線では貨物も旅客もこなす万能選手。構内作業にも活躍しました。大型のシロクニ(C62形)や中型のシゴハチ(C58形)に比べて地味だけど、旧国鉄時代の鉄道システムを支えた重要な存在です。

 ――現役のSLは全国で何台ありますか。

 石川さん JRや私鉄で動態保存されているのは、JR東日本のデゴイチ(D51形)やJR九州の8620形など大小9種類16両です。C11形は小型で扱いやすく、維持費が安いため最多の5両が現存します。JR北海道が貸した207号機が走る東武鉄道(東京)、大井川鉄道(静岡)でも活躍しています。

 ――なぜ鉄道各社はSLを残すのでしょう。

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(上)運行前の点検
(中)元機関士が語り部
(下)整備の日々、そして改修へ

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