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#コロナ下の合同新歓 #教員目指す学生 教育への夢 良き出会い糧に

 大学1年生を中心に学校の先生を目指す学生にエールを送る「教育系合同新入生歓迎会」(実行委主催)が4月中旬、札幌市内で初めて開かれた。会場に集まったのは市内3大学の1、2年生計8人とスタッフ約20人。最近の若い人たちはどんな思いを抱いて先生になろうとしているのだろうか。3人の学生に胸の内を聞いてみた。

 「一人一人の子供をよく見て、適切な助言ができる先生になりたい」。力を込めてこう話すのは北大総合文系1年の後藤葵衣(あおい)さん(18)。きっかけは高3のときの担任との出会いだ。昨年春、新型コロナウイルスの感染拡大で3カ月間休校し自主学習となった。その間、担任は週1回クラス全員にメールを送り、勉強の進み具合や悩みなどを聞いて一人一人に助言をした。さらに休校期間半ばの一斉登校日には連絡事項を伝えた後、全員に向かって「努力すれば必ず未来は開ける」と激励した。日ごろの個別の助言に加えてこの言葉が後藤さんにはことのほか心に響いた。ちょうど志望大学の選択で少し自信が揺らいでいたからだ。「それから受験勉強に身が入るようになり、大学にも合格できた。私にとっては最高の先生」と振り返る。将来は高校で地理を教えるのが夢だ。

■学習補助で自分を再認識

 小学校の先生を目指す北海道教育大札幌校2年の鈴木うららさん(19)は昨年、コロナで入学と同時にオンライン授業になり、実家がある長野県にとどまっていた。5月のある日、母校の小中学校から学習補助の依頼が届いた。全校児童生徒数は約80人。子供が10人いる小学1年生のクラスにボランティアで入った。期間は2カ月間。子供たちとよく勉強し、遊び、毎日が楽しかった。先生を志したのは小さい頃からの憧れからだが、このとき「自分は心の底から子供が好きだと分かった」。札幌に行けるめどが立った頃、子供たちが「うらら先生を送る会」を開いて歌や踊りを披露し、最後に手作りのアルバムを贈ってくれた。将来は「子供の力を信じ、可能性を広げてあげられる先生になりたい」と切に思う。

 実行委員会のスタッフとして関わった道教大旭川校4年の佐藤陽(よう)さん(21)は小学校から高校まで6人の先生から良い影響を受けたという。佐藤さんが目指すのは「困ったときに頼られる先生」だ。そのきっかけとなったのは高1のときの経験。部活動の継続で迷うことがあり担任に相談した。担任は真剣に佐藤さんの話に耳を傾け、最後は「自分の決断に自信を持つといい」と背中を押してくれた。このときは中学時代の部活の顧問も相談に乗ってくれた。佐藤さんは中学校の理科の先生になるのが夢で、6月に教員採用試験を受ける。「実験を通して答えを見つける」という理科の面白さを教えてくれたのは中3のときの担任。佐藤さんは2年前の夏、自室でキアゲハの幼虫を飼い、羽化するまでを動画で撮影した。「先生になれたら編集してぜひ授業で使いたい」と意気込む。

■人脈広げてよりどころに

 実行委員会は5団体で結成された。具体的には教育イベントを運営するEDUFES北海道、デジタル学習を推進するD-SCHOOL北海道、教員を助ける学生団体Teacher Aide、学童保育などのNPO法人E-LINK、高校への出前授業を行っている特定非営利活動法人いきたす。会場では各団体の活動紹介やグループに分かれて団体と参加者の質疑応答などが行われた。

 いま、先生を取り巻く環境は長時間勤務の問題などもあり、夢を諦めたり孤立化していくケースもある。歓迎会の開催の狙いについて、自らも先生を目指した経験がある実行委員長の嶋本勇介さん(28)は「今は先生を支えながら理想の教育の実現を目指す団体が幾つもある。学生のうちからそうした団体ともつながることで、先生になってからも夢を持ち続ける手助けになれば」と語る。道教大大学院の姫野完治教授(45)=教師学=は「教員を支える民間の団体は道内でも古くからあるが、ネットの普及などもあってあらためて存在感を増しているようだ」とし、「学校の中だけでなく外にも人的なネットワークを広げることで、個々の教員にとって新たな支えや知見を得るよりどころとなっていく可能性もある」と話している。(文・青山実、写真・国政崇)


先生を目指す若い人が気にする仕事の忙しさなどについての記事はこちらから。

<取材後記> 3人の学生さんたちは先生や子供との出会いを宝物のように話してくれた。良き出会いが新たな良き出会いを生み出していく。これはどんな仕事にも付きものだが、教育現場ではより鮮明に出る。良き出会いの広がりは、世の中をより良い方向に静かに変えていく力にもなるのだろうと思った。(青)

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