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安倍氏の「復権」 負の遺産の説明が先だ

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 昨年8月末に持病の悪化を理由に突然辞任した自民党の安倍晋三前首相が、党内の保守系グループや議員連盟の役員に相次いで就任し、動きを活発化させている。

 菅義偉政権が三つの衆参補欠選挙と再選挙で全敗するなど低空飛行が続く中、近づく衆院選と党総裁選に向け「再々登板が視野にあるのでは」との臆測も出ている。

 国会議員がさまざまな活動に取り組み、発信することに基本的には異を唱えるつもりはない。

 ただ、史上最長の政権を担った安倍氏の影響力は大きい。体調が回復し、活動を本格化させるのであれば、その前に説明すべきことが山積している。

 「桜を見る会」前日の夕食会費補填(ほてん)問題は真相が究明されていない。ほかにも森友・加計学園の問題など「負の遺産」が残る。

 これらの疑惑に頬かむりしたままの「復権」には首をかしげる国民も少なくないのではないか。

 安倍氏は自民党憲法改正推進本部の最高顧問にも名を連ねた。

 先月下旬には、改憲手続きを定めた96条に関し「国会議員の3分の1ちょっとが反対なら、国民の半数以上が賛成でも変えられないのはいかがなものか」と述べた。

 96条改定は首相就任後、最初に言及したものの、理解が広がらないと見るや矛先を変え、9条への自衛隊明記を提唱した。

 憲法を順守すべき首相自らが改憲の旗を振り、二転三転する主張に世論の支持は得られなかった。

 安倍氏は原発の新増設や建て替えの必要性を唱える議連の最高顧問も引き受けた。

 東京五輪招致に際し、安倍氏は東京電力福島第1原発の処理汚染水について「状況はコントロールされている」と演説した。

 ところが、現状はどうだ。

 処理水保管が限界に達し、政府は海洋放出の方針を決めた。風評被害を懸念する地元漁業者は反発している。当時の見通しが妥当だったか安倍氏に説明を求めたい。

 桜を見る会の疑惑は昨年末、安倍氏が衆参の議院運営委員会で陳謝したものの、秘書に責任転嫁するような発言を繰り返した。

 提示を拒んでいるホテルの明細書を示し、補填の原資や動機を明らかにすべきだ。

 森友問題は担当した財務省職員に自殺者が出て、妻が真相を知りたいと国を訴えた。

 だが、当該の学校法人と関わりが深かった安倍昭恵夫人からも説明がない。前首相ともども事実をすべて語る責任がある。

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