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先生という仕事の忙しさ、そして新たな「つながり」の可能性

 4月18日に札幌市内の共同オフィススペース「エゾハブサッポロ」(東区北8東4)で初めて開催された「教員系合同新入生歓迎会」。集まった学生に先生になったときの不安や気掛かりなことについて尋ねると、複数の学生が「長時間勤務」を挙げた。先生という仕事はどれぐらい忙しいのだろうか。

 
小、中、高の過半数で残業上限を超す

 参考になる数字がある。北海道教職員組合(北教組)が昨年9月に組合員を対象に調査し、約6500人の残業時間を集約した結果だ。それによると、9月の平均残業時間は小学校が48時間33分、中学校が66時間46分、高校が70時間57分だった。国は1カ月の上限を45時間としており、それを上回った割合は小学校が51.5%、中学校が71.9%、高校が72.2%で、いずれも過半数が上限を超えている。

 
仕事の持ち帰りが常態化

 この結果は学校内での残業時間だけを聞き取った数字で、先生の中には家に持ち帰って仕事をする人たちも多い。その分も加えると1カ月の超過勤務の平均時間は小学校が60時間49分、中学校が75時間13分、高校が71時間58分とさらに厳しい状況が浮き彫りになり、冒頭の学生たちの懸念が裏付けられた形だ。

 
人を増やし業務を減らす必要

 長時間勤務の要因について、北教組は《1》教員1人当たりの授業の持ち時間が長い《2》産休などの代替教員の未配置《3》中学・高校では部活動の負担が大きい―と指摘した上で、「人を増やして業務を減らさないとこの状況は変わらない」(本部)として国主導の抜本的な解決を求める。

教員志願者は減る傾向

 こうした状況で教員のなり手の数はどうなっているのだろうか。北海道教育委員会(道教委)のまとめによると、道内の公立学校教員採用試験のこの10年間の志願者数は小中高いずれもほぼ減少傾向にある。グラフで見ると、2011年度と20年度の志願者数は、小学校が1770人から1142人に、中学校が2001人から1604人に、高校が1337人から1060人に減っている。

長時間勤務の影

 この要因について、道教委は可能性として「北海道教育大が道内5校のうち教員養成課程を札幌、旭川、釧路に集約している影響や景気回復で民間企業に進む学生が増えたこと、さらには教員の時間外勤務のこともあるかもしれない」(教職員課)とみている。

教員の魅力を発信

 道教委は志願者を増やすために、働き改革の一環として、部活動指導員の配置を含む「北海道アクション・プラン」などを実施してきた。さらに道教大などと連携して小規模のへき地校で教員を志す学生に実習してもらい、子供たちや地域との交流を通じて教員の魅力を体験してもらう「草の根教育実習」を昨年度から始めている。

学校の枠を超えた連携模索

 今回の合同新歓は、教育イベントの運営や教員支援、学童保育など道内でさまざまな教育活動を繰り広げる民間5団体が実行委員会をつくって実施した。中には現役の小中高の教員が参加している団体もある。5団体が集まったことについて、実行委員長の嶋本勇介さん(28)は「大学生に各団体の活動を知ってもらい、在学中から関わることで視野と経験を広げられる機会があることを知ってほしかった」と狙いを語る。

労働組合も注目

 こうした動きに既存の労働組合も強い関心を寄せる。北教組の山崎俊一書記次長(46)は「組合としても各種団体と連携して教育のあり方を研究していくことは重要と考えている」として、今回の参加団体との将来的なつながりも視野に入れる。北海道高等学校教職員組合連合会(道高教組)の菱木淳一書記長(46)は昨年12月に教育系のオンラインイベントに出演して若者に教員の働き方に関する解説をした経験があり、「従来の組合活動に加えて他団体と協力して新しい社会運動を始められる可能性もある」と期待を寄せる。

北海道の教育をさらに充実

 教育系合同新歓について嶋本実行委員長は「来年の開催も検討したい」とした上で、「今後も各団体との連携はもちろん、学生や教員、さらには地域や行政とも手を携えて北海道の教育をさらに充実させていきたい」と意気込む。今回の催しをきっかけに、北海道の教育をめぐり新たな未来が開けていくことにもなりそうだ。(編集委員 青山実)

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