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<コンビニ50年 第1部 セコマと北海道の針路>1 出店「産地」守るため 小さな商圏、工夫次第で

 昨年12月に開業した十勝管内豊頃町のコンビニエンスストア「セイコーマート豊頃役場前店」。朝7時に開店すると高齢者らが途切れることなく訪れ、豆腐や牛乳を買い求める。同店を誘致した宮口孝町長は「店の採算が取れていると聞いてホッとした」と話す。

 かつてこの場所にあった町内唯一のスーパーは、2019年6月に閉店。「周辺住民が買い物難民になった」(宮口町長)。後継者探しは難航し、町は店内の設備改修に約4200万円の助成を決定。手を挙げたのが道内コンビニ最大手セコマ(札幌)だった。

 町の人口は約3100人だが、4キロ離れた十勝川対岸にもセイコーマートがあり、新店舗の商圏はわずか千人程度。陳列棚や冷蔵庫は近隣店の不要品を転用し、午後8時までの13時間営業で人件費や光熱費も圧縮。標準的な店舗の半分の売上高で収支トントンとなるめどが立ち、出店した。

 同社は道内1078店を展開し、全179市町村でグループ店舗がないのは空知管内月形町や上川管内幌加内町など4町村だけ。地方の生活基盤の担い手としての期待は大きく、紋別市上渚滑町、オホーツク管内小清水町でも自治体が出店費用の一部を助成した官民連携型の店舗を構える。

 一民間企業のセコマが赤字と隣り合わせの地方にこだわるのは《1》コンビニ《2》物流サービス《3》食品製造―を3本柱とする独特の事業モデルにある。札幌市北区に道内初のコンビニを開いて50年。丸谷智保会長は「コンビニで成長してきたが、少子高齢化が加速する今後は『北海道ブランド』で道外に売り込める食品製造が収益を維持する鍵」と指摘する。

 そのためにも赤字にならない限りは出店し、農林漁業を担う原料供給地帯の生活を支える。資源豊かな地方を起点とした生き残り戦略は、内需縮小にもがく道内企業に共通する処方箋ではないだろうか。


 道内のコンビニ1号店となるセイコーマートが誕生して今夏、50年を迎える。小売りチェーンにとって恵まれた経営環境とは言えない北海道で、存在感を高めているセコマの経営戦略を通して、北海道経済の進むべき針路を考える。(伊藤正倫、麻植文佳が担当し、6回連載します)

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