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<札幌 管理から愛護へ 動物センター50年>上 次の飼い主 適性見極め

 「幸せになるんだよ」「元気でね」。札幌市北区の市保健所動物管理センター福移支所の獣医師辻野優勝さん(30)ら職員4人が3月末、新たな飼い主に引き取られていく雌の柴犬はな(4歳)を見送った。

■常時20~50匹

 同センターは動物の飼育相談や保護した犬猫の新たな飼い主探しなどの役割を担う札幌市の施設で、事務機能を持つセンター本所は西区八軒にある。保護動物の飼育や譲渡を行う同支所には、7匹分の犬舎と猫用ケージがあり、何らかの事情で飼い主を失った犬猫20~50匹を常時預かる。

 はなが支所に来たのは昨年5月。前の飼い主から「飼いきれなくなった」と相談を受けて引き取った。小柄だが、手や棒を見ると激しくほえ、「譲渡が難しい犬」とされてきた。

 しかし、市内の自営業宮博史さん(50)は今年3月、「悲しい思いをする犬を減らしたい。難しい性格の犬をもらいたい」と、譲渡を申し出た。これまでにも同支所から2匹を引き取り、天寿をまっとうさせた。

 同支所が相性などを確認し、問題がなければ通常は即日で引き渡すが、はなは違った。かみ癖のあるまま譲渡すれば、人を傷つける可能性があるからだ。宮さんはセンターに通い、おり越しの対面や散歩を繰り返してきた。だが、はなはまだ直接触れさせてくれない。「はなが許してくれたら抱っこして、その写真をセンターに送りたい」

 獣医師の辻野さんは、宮さんとはなを見送った後、「人間が選んでいるようで、実は犬や猫が新たな飼い主を受け入れるかどうかが鍵なんです」と話した。

 犬や猫が人におびえたり、かみついたりするのは、愛情を持って育てられた経験が少なく、正しいしつけも受けていないケースが多い。はなを宮さんに託したのは、訓練の様子を見て「大丈夫」と判断したから。同支所に約3年滞在している犬がまだ2匹いるが、センターは引き取り手が現れるのを待ち続ける考えだ。

■殺処分 限定的

 1971年のセンター開設当時は狂犬病予防のための「野犬狩り」が主な業務で、捕獲した犬猫を殺処分し、犬は2006年に最多の275匹、猫は02年に2455匹に上った。しかし、動物愛護精神の高まりを受け、近年の処分は回復の見込みがないけがや病気の場合に限られ、年1匹いるかいないかだ。

 「終生飼養」をうたった改正動物愛護法の施行を受け、センターは23年度に動物福祉の拠点「動物愛護センター(仮称)」として生まれ変わる計画だ。「動物との共生」を目指すセンターの取り組みを追った。(報道センターの袖山香織が担当し、3回連載します)

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