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紙上旅行

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日本航空の紙の時刻表が5月分までを掲載した冊子で最終号になった。確かにネット予約の普及で使わなくなった▼ダイヤのほか各種割引運賃や取り消し手数料、空港からのバス料金などが通覧できる内容はスマホの画面を切り替える手間を思えば捨てがたい気もするが、紙からデジタルへの流れは止められぬ。全日空は1月分を最後に廃止した▼となると、気がかりは鉄道時刻表の行方だ。路線図とダイヤを照らし合わせ、さまざまな乗り継ぎルートを考える紙上旅行の楽しみは残してほしいと願う鉄道ファンは少なくなかろう▼旅と時刻表といえば紀行作家の故宮脇俊三さん。1979年初刊の「最長片道切符の旅」は、「百年を越える日本鉄道史上に作り成された大交響曲である」時刻表を駆使し、同じ駅を2度通らない条件で北海道から九州までの最長ルートを編み出して実践した▼広尾駅を出発し帯広―新得―富良野―旭川―遠軽と回ったのが初日。北海道を出るのに6日間を費やした。鉄ちゃんにはうらやましい限りのぜいたくな旅だが、旧広尾線をはじめ利用した鉄路の多くが今はない▼当時の道内の密な路線図と現在のJTB時刻表を見比べると、スカスカな姿に改めてため息が出る。先月末で廃止された日高線鵡川―様似間も、次号から姿を消す。大交響曲がレールに力強い音を奏でた時代を宮脇さんも懐かしんでいることだろう。2021・4・19

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