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<北海道 移住者たちの選択>12 元看護師、夢の乗馬クラブを創る

 北海道へ移り住んだ人たちのそれぞれの選択を探るシリーズ<北海道 移住者たちの選択>。ニセコ編の最終回は、後志管内京極町に昨年、乗馬クラブを開設した元看護師の宇野敦子さん(45)です。二度と経験したくない苦い挫折を乗り越えて、たどり着いた羊蹄山麓。大好きな馬と一緒の生活を創り上げる姿を追いました。(文・写真/倶知安支局 桜井翼)

京極町の乗馬クラブで愛馬たちと戯れる宇野さん=2021年4月5日
京極町の乗馬クラブで愛馬たちと戯れる宇野さん=2021年4月5日

■羊蹄山に心奪われ

 湧き水の郷として知られる京極町。新型コロナウイルス禍の昨夏、小さな乗馬クラブがオープンした。

 「HORSE BACK COUNTRY」(ホースバックカントリー)。オーナーの宇野敦子さんは鳥取県出身。縁もゆかりもない町で、クラブを1人で切り盛りしている。

 高校卒業後、看護師の資格を取得。東京都内の病院で働いた。生と死が交錯する過酷な現場。「疲れた。少し休みたい」と感じたとき、同僚に誘われ、都内の乗馬クラブを訪れた。

 馬の背に乗ると、目線がぐっと上がった。違う世界が見える。馬の愛くるしさにも魅せられた。以来、休みには乗馬クラブへ通うようになる。

 転機は30歳を越えてから訪れた。乗馬目的の旅行で訪れた北海道で、新しく乗馬クラブを立ち上げたという人物にスカウトされた。翌夏、別のクラブに移るも、その稼ぎだけでは生計を立てられず、冬は東京に戻り、看護師としても働き続けた。

 「だんだん馬と意思疎通できるようになり、楽しかった」。育てた愛馬は米国で開催した世界選手権に出場するまでになった。

 ところが、10年が過ぎたころ、共にクラブを育ててきたオーナーとの関係が悪化。仕事を失うだけでなく、手塩にかけて育てた馬たちとも、接触できなくなった。

 失意のまま東京に戻り、看護師として働く日々。前を向くきっかけは何度も乗馬クラブに足を運んだ常連の言葉だった。

 「帰る場所がない? それなら自分で創ればいい」

 馬に魅せられ、多くの時間をささげてきた。ここで終われない。そうだ、ないなら創ればいい―。

 北海道に戻り、適地を探していると、富士山に似た山が眼前に現れた。瞬時に心を奪われた。「私は、ここに創る」。そう決めた。

 見知らぬ地に居を構え、たった1人での挑戦が始まった。


=ニセコ編は今回で終了します。エピローグとして「総集編」を4月18日朝刊で特集し、電子版に専用記事も配信します。

 4月27日から、北十勝編を連載します。プロローグとして、4月25日朝刊に特集記事を掲載し、電子版に専用記事を配信します。

■シリーズ<北海道 移住者たちの選択>
 北海道に移り住んだ人たちが、移住前に何を思い、葛藤し、どんな希望を持って「北海道」を選んだのか、その一端を紙面で紹介しつつ、決断の舞台裏を電子版で詳しくお伝えします。
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 記事の一部は、多言語サイト「The Hokkaido Shimbun Press」で、5言語(英語、中国語=繁体、簡体=、韓国語、タイ語)に翻訳し、随時、配信します。
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