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市販検査キットに警鐘 消費者庁 抗原・抗体 国の承認ゼロ 不明な精度 需要は増加

 道内の薬局やインターネットで市販されている新型コロナウイルスの抗原、抗体検査キットについて、消費者庁が、感染の有無を自分で判断する目的で使わないよう、注意を呼びかけている。これまでに国が承認した市販品はなく、検査精度が不明だと指摘する。専門家は「検査は市販品だけに頼らず、必ず医療機関で受けて確認してほしい」と呼びかける。

 「薬局で売られていて国のお墨付きがあると思った。自宅で検査できて便利なのに」。札幌市厚別区の会社員高橋徹さん(28)は3月下旬、市内の薬局で3800円の抗原検査キットを購入した。出張で宿泊予定の大阪のホテルから「事前に検査を受け、陰性を証明して」と求められたためだ。健康なため医療機関での検査は受けられず、市販品を使った。結果は「陰性」だったが、国が未承認と知り「証明にならないなら、無駄な出費」と戸惑った。

 新型コロナの検査には、ウイルスそのものの有無を調べるPCR検査と、ウイルスによって体内に生成されるものを調べる抗原、抗体検査がある。唾液や鼻の粘膜を使う抗原検査キット、指先などから採取した血液を使う抗体検査キットは、札幌市内の薬局や量販店のほか、ネット通販でも入手でき、検体を採取すればその場で結果が分かる。PCR検査は検体を採取して検査機関に送付するためのキットのみ市販されている。

 消費者庁によると、国内では昨夏から、抗原、抗体検査キットの市販品が流通し始めた。ただし厚生労働省は、抗原検査キットについて、これまでに19製品を承認したがいずれも医療機関や保健所用で市販されていない。抗体検査は一つも承認していない。市販品の中には「厚生労働省承認済み」など事実と異なる広告をするものもあり、同庁は3月下旬、これらを扱っていた通販会社など5社に再発防止を指導した。

 一方、非感染を証明したい市民ニーズは増している。札幌市豊平区のアルバイト三田香奈恵さん(19)は、4月上旬に東京で開かれる友人の結婚式を前に抗原検査キットを購入した。「何の検査も受けずに参列し、後で感染が判明したら後ろ指をさされそう。国が承認しているかより、検査したことが大事」と言う。

 薬局の売り場担当者は「症状がない人が陰性を確認したい場合は、民間に頼るしかない。医薬品と偽っているわけではない。不安な人に必要な商品」と話す。

 札幌市内などでは、民間企業が行うPCR検査を自費で受けることができ、多くは医療機関と同じ機器や検査法を採用している。ただ検査を行う企業の一部には、検査能力が不十分な可能性も指摘され、厚生労働省は今後、精度を検証していく方針。道と札幌市は「民間検査で陰性でも、行政のPCR検査で確認されない限り、陰性とは認められない」とする。

 北海道医療大の吉田繁教授は「精度が不確かな検査結果だけを根拠に行動する人が増えれば、感染拡大につながるおそれがある。行政はより簡単にPCR検査を受けられる環境を整え、国民の不安解消に努めるべきだ」と話す。(石垣総静)

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