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身内の調査

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大化の改新で朝廷から派遣された国司(こくし)が地方行政をつかさどっていたころの話である。目の届かぬところで賄賂を受け取るなど職権乱用を働く者も少なくなかった。これをとがめて、厳格な処分を下したのが孝徳天皇だ▼大化2年(646年)、東国(あづまのくに)の八道(やつのくに)の国司8人が報告のため難波宮(なにわのみや)に上京した時のこと。考課で2人に不法行為ありと認定されたが、孝徳天皇自ら審査したところ、6人の不正行為とその部下たちの収賄もあきらかになった▼自著で「汚職は日本書紀の昔から」と記したのは、東京地検特捜部検事としてロッキード事件を捜査した河上和雄さんだったが、身内に甘いずさんな調査も古(いにしえ)より変わらないものなのだろうか▼総務省幹部4人が菅義偉首相の長男が勤める放送関連会社から接待を受けていた問題で、総務省はきのう、新たに9人が接待されていたと発表した。国家公務員倫理規程に違反した11人が近く処分されるという▼総務省は文春オンラインが音声データを公開するまで、会食時に放送事業に関する会話があったことすら否定していた。武田良太総務相は先週調査不備を謝罪したが、その姿勢に疑念を禁じ得ない事態だ。処分でこと足れりとはなるまい▼律令(りつりょう)国家は上位官職の世襲続きで形骸化した。孝徳天皇の厳正な姿勢は群臣の反発を招いてしまうが、私心による職務遂行のまん延の帰結は歴史にある通りである。2021・2・23

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