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<デジタル発>霧多布岬のラッコ観察 「ルール守って」 エトピリカ基金と浜中町がガイドライン

 【浜中】北海道東部(道東)に位置する釧路管内浜中町。太平洋側に突き出た霧多布岬(湯沸=とうふつ=岬)で最近、野生のラッコを見に来るカメラマンや観光客が増えている。しかし、マナー違反も目立ち始め、ラッコの調査・保護に取り組むNPO法人エトピリカ基金(片岡義広理事長、浜中町)が浜中町と共同で「観察ガイドライン」を定めた。本格的な観光シーズンが来るのを前に、ルールを明確にしてあらかじめ周知を図ることで、事故やトラブルを防ぐのが狙いだ。(文・写真/厚岸支局 山村晋)

ラッコの観察ガイドラインを載せたリーフレットを手に、「ルールを守って観察して」と呼び掛ける片岡義広理事長
ラッコの観察ガイドラインを載せたリーフレットを手に、「ルールを守って観察して」と呼び掛ける片岡義広理事長

■一躍、注目も

 「霧多布岬に野生のラッコがいる」「日本にラッコがいるなんて知らなかった」「ラッコって、かわいいだけを詰め込んだ動物だよな。見に行きたい」

 霧多布に暮らすラッコたちの存在は、会員制交流サイト(SNS)などを通じ、じわじわと広がる。

 岬ではラッコを目当てに訪れる人が増えたのに伴い、遊歩道の外に出たり、柵を乗り越えたりするマナー違反が目立ち始めた。こうした行為は崖から転落する危険がある一方、多年草のエゾカンゾウやユキワリコザクラなどの群生地も踏み荒らすことになる。植物に詳しい霧多布湿原センター(浜中町)の職員は「多様な植物が生える場所。踏み荒らされれば、再生に何年もかかる」と心配する。

 岬周辺の崖は海抜40メートル近い高さがあり、過去には転落死したケースもあるという。浜中町は昨年夏、遊歩道沿い数カ所に「乗り越え禁止」「遊歩道から出ないで」と注意を喚起する簡易看板を設置した。

浜中町が昨年夏に設置した簡易看板。策を乗り越えないよう、注意を呼び掛けている=浜中町の霧多布岬
浜中町が昨年夏に設置した簡易看板。策を乗り越えないよう、注意を呼び掛けている=浜中町の霧多布岬


 しかし、違反を繰り返す人が後を絶たない。

①遊歩道を外れて崖の上でラッコなどを観察する人たち。遠景で分かりにくいが、拡大すると…②こんな感じで撮影?③ここにも④こんなところにも
①遊歩道を外れて崖の上でラッコなどを観察する人たち。遠景で分かりにくいが、拡大すると…②こんな感じで撮影?③ここにも④こんなところにも

■姿を消してしまう!?

 さらに、ラッコは人影や船の動きに敏感に反応したり、小型無人機(ドローン)の飛行音や大声を嫌ったりして逃げる。特に、岬周辺で最近よく見かけるようになった子育て中の母ラッコは、ことのほか外敵を気にする。片岡理事長は懸念する。

 「神経質で警戒心の強いラッコが、岬周辺を安全な場所でないと判断すれば、姿を消してしまうかもしれません」

霧多布岬周辺に生息する野生のラッコ=2020年12月18日、浜中町(NPO法人エトピリカ基金提供)
霧多布岬周辺に生息する野生のラッコ=2020年12月18日、浜中町(NPO法人エトピリカ基金提供)


 霧多布のラッコは、NHKBS1の「ワイルドライフ」でも「北海道 霧の岬にラッコが集う」と題して紹介された(1月25日放送、2月1日再放送)。NHK総合の人気番組「ダーウィンが来た!」でも放送が予定されているといい、春以降、さらなる来訪者の増加も予想される。

 今回のガイドラインは、それに先立ち、先手を打った形だ。

 ガイドラインは、《1》遊歩道の外には出ない《2》ドローンをラッコの上に飛ばさない《3》接近するために船を出さない―の3本柱からなる。

 「霧多布のラッコたち」と題したリーフレット(三つ折りA4判カラー)も1200部を制作し、親子ラッコの写真に「ラッコもあなたを見ています」との言葉を添えた。

リーフレットの外面。ガイドラインの3本柱が明記されている
リーフレットの外面。ガイドラインの3本柱が明記されている

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