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株価3万円台に 実態映さぬ高騰危うい

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 日経平均株価が3万円の大台に達した。バブル経済期以来、30年6カ月ぶりの高水準だ。

 だが日本経済は依然厳しい。

 昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)速報値は年率換算で12・7%増と2四半期連続のプラス成長だったが、コロナ前の水準には届かない。足元の1~3月期はマイナス成長に戻る見通しだ。

 最近の株価上昇はワクチン接種開始なども好感しているのだろうが、期待先行の面が色濃い。コロナ禍に苦しむ実態とかけ離れた株高は異様と言わざるを得ない。

 背景には、コロナ対応で世界各国が続ける財政出動や金融緩和による巨額資金があふれ、株式市場に流入していることがある。

 緩和マネーの存在が安心材料となり、投資家の買いを一層誘う―。コロナ禍が株価を押し上げるいびつな構図であり、感染収束に向かえば急落に転じる危険もある。

 今月に入って上昇ペースが加速しており、過熱感が漂う。実体を伴わない高騰はバブルの危うさをはらむだけに、警戒が必要だ。

 日経平均株価は感染拡大を受けて昨年3月に1万6000円台まで落ちた後、上昇基調に入った。

 実体経済と乖離(かいり)するのは、業種や企業によって業績が二極化していることも影響している。

 とりわけコロナの打撃が大きい飲食、宿泊業は中小零細企業が多く、その苦境は大手銘柄で構成される株価指数に反映されにくい。

 コロナ禍に強いIT関連をはじめ、一部企業の好業績が平均株価を押し上げているのが実情だ。

 この状態で株高が続けば、政府の景気判断を狂わせかねない。

 株高が格差を拡大していることも見過ごせない。投資余力がある富裕層が潤う一方、失職や収入減に追い込まれる人も増えている。

 政府は市場動向をこれまで以上に注視しつつ、雇用対策や困窮者支援を強化する必要がある。

 コロナ前から緩和策を続ける日銀は、感染拡大を受けて上場投資信託(ETF)の購入枠をさらに増やし、株価を支えてきた。その結果、中央銀行が国内株の最大の保有者になる異例の状態となった。

 株価がここまで回復する中、相場を支える理由はあるのか。ただでさえ日銀による株購入は市場機能をゆがめるとの批判が根強い。

 これ以上買い進めれば、市場を混乱させずに保有株を処分する「出口」が遠のくばかりである。ETFの購入抑制を含め、金融政策の正常化を見据えた「次の手」への議論を速やかに始めるべきだ。

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