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プーチン氏発言 返還拒否は認められぬ

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 ロシアのプーチン大統領が国内メディア幹部との会合で「日本との関係を発展させたいと思っているが、ロシア憲法に矛盾することは何もしない」と述べた。

 ロシアは昨年7月に憲法を改正し、領土の割譲禁止を明記した。改正憲法と対日関係を絡めたプーチン氏の発言が公になるのは初めてだ。北方領土の主権を引き渡さない考えを示したように見える。

 ロシアはこれまで、北方領土問題を協議する姿勢を示してきたが、経済協力を引き出すことだけが狙いだったのか。それが真意なら断じて認めることはできない。

 改正憲法では隣接国との国境画定作業を禁止対象から除外した。

 そのため、日本政府は領土交渉への影響は限定的として改憲を事実上傍観してきた。

 だがプーチン氏は今回、日本との国境に関連し「ラブロフ外相に質問すれば、どこに境界があるか説明するだろう」と述べ、既に画定しているとの認識を示した。

 見通しが甘かった日本政府の責任は重い。事ここに至っても加藤勝信官房長官は「引き続き粘り強く取り組みたい」と従来方針で臨む姿勢を示した。

 しかしロシア側が主権引き渡しを協議しないと言うなら、交渉を一から仕切り直さなくてはなるまい。菅義偉首相はまずプーチン氏に真意をただすべきだ。

 プーチン氏は対日交渉で、平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡すとした1956年の日ソ共同宣言を唯一の批准文書として重視してきた。

 今回の発言は、そうした過去の姿勢とも矛盾する。

 ロシア側の強硬姿勢は、安倍晋三前首相が2018年のシンガポールでの首脳会談で、四島返還を目指す方針から、日ソ共同宣言に基づく2島返還を軸にした交渉にかじを切ったことがきっかけだ。

 日本側の一方的な譲歩がロシア側の増長を招いた。この交渉の詳細はいまだ公表されていない。可能な限り明らかにして検証することが欠かせない。

 菅政権は交渉の立て直しを図るべきだったのに、何ら手を打ってこなかった。安倍政権からのツケが一気に回ってきたと言える。

 プーチン氏の強硬発言の背景には、国内で反政権運動が高まり、領土問題で譲歩しづらい状況になっていることもあろう。

 だが四島を不法占拠したのは旧ソ連であり、その継承国たるロシアは返還する責任を負っている。そのことを忘れてはならない。

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