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予算委首相答弁 反省なく国民に届かぬ
国会は衆院予算委員会で本格的な論戦に入った。
立憲民主党は新型コロナウイルス対策が後手に回り、感染急拡大を招いた政府の責任を追及した。
だが、一問一答の質疑でも、菅義偉首相の木で鼻をくくったような答弁はなんら変わらなかった。
GoTo事業見直しなどが遅れ、緊急事態宣言の再発令に追い込まれた反省がまるで見えない。
崩壊状態にある医療体制の立て直しも、十分な予算措置を講じていると素っ気なく繰り返すだけだった。
感染対策の失敗で内閣支持率が落ち込む中、従来方針を繰り返すばかりの首相答弁に覇気が感じられない。これで国民の命と暮らしを守れるのか。不安が膨らむ。
首相は、感染拡大で一時停止しているGoTo事業の追加費用を盛り込んだ本年度第3次補正予算案の組み替えを重ねて拒否した。
「しかるべき時期の再開に備えて計上した」と説明したが、補正予算を執行する3月末までに再開できる見通しが立つのか疑問だ。
宣言再発令で住民に外出自粛を要請しながら、旅行や外食を奨励する事業の推進を図るのでは、国民に危機感が伝わらない。
GoTo事業見直しや緊急事態宣言が遅れた理由をただされると「専門家の意見を聞いて判断した」と同じ答弁でかわし続けた。
コロナ特措法の改正に至っては、感染が一段落しているうちに実現すべきだったと追及されたのに、緊急事態宣言を昨年末に出さなかった経緯を何度も説明した。
はぐらかすどころか、何を聞かれているのかさえ理解していないのではないかとの疑念が湧く。
首相に答弁が求められながら、コロナ対策を担当する田村憲久厚生労働相や西村康稔経済再生担当相が答える場面も目立った。自信なさげに説明を委ねる姿は国民に頼りなげに映ったのではないか。
立憲民主党は、症状が改善した重症者の移転先がないことが医療現場の逼迫(ひっぱく)を招いているとして、大学病院や国立病院と民間医療機関との連携などを求めた。
ところが、首相はコロナ患者を受け入れる医療機関への支援金を設けたと説明するだけだった
金銭的な支援だけでは医療体制を拡充できない。感染拡大地域で医師や看護師を確保し、人工呼吸器などを効果的に運用できる仕組みを構築する必要がある。
国民の命が脅かされる危機的状況にあっては、野党の主張でも受け入れる柔軟さが求められよう。