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<訪問>「父と子の絆」を書いた 島田潤一郎(しまだ・じゅんいちろう)さん

 38歳で父になった。「子育てはジョン・レノンみたいに喜びにあふれたものだと思ってた。楽しもうと思っていたが、奪われる感じ」。人生で主役は子どもになり、自身は二番手になった。好きなことをやってきた青春時代が終わった一方で、助けられている気もしている。

 本書は、編集から営業、発送まで1人でこなす出版社「夏葉社(なつはしゃ)」を東京・吉祥寺で経営する著者が、子どもとともに暮らす日常―喜びや悩みの数々を、温かな筆致でつづる。「僕と妻にとって、子育てはしんどかった。これは僕たちだけじゃないはずだと思った」。今日の子どもを見ていると、昨日のことは忘れていく。「どんどん更新されていくから、備忘録のように残しておきたかった」

 本や音楽が子育てを支えてくれている。「文化、カルチャーは孤独な人の心を支えるためにあるもの。子どもが生まれて、自分の仕事がますます好きになりました」。辛口の読者を意識する思いが強かったが、今は「息子が孤独になった時、もしかしたら支えになるようなものを作りたい」と考える。現在6歳の長男は「水木しげるさんに夢中。もしかしたら、生涯ずっと共にあるかもしれない。それは豊かなことだと思います」。

 子どもには健康であってほしい、そして、ひとりかふたりの人間を支えてほしいと願う。誰かが人生に困っている時に何かができる人間になってくれれば―。「そうすれば、誰かが彼らを助けてくれるはず。親でも、いつかサポートできなくなる時がくるので」

 高知県生まれ。大学卒業後、フリーターなどを経て、2009年に夏葉社創業。スローガンとして「何度も、読み返される本を。」を掲げる。豊富な読書歴に加え、「影、哀愁がないとひかれない」という音楽を浴びるように聴いてきたことが本づくりの原点。「自分一人で立っていて、ぶれない感じがする」詩人の荒川洋治さん、イラストレーターの和田誠さんは憧れの存在だ。妻と長男、4歳の長女と暮らす。44歳。

編集委員 恵本俊文

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