PR
PR

核禁止条約発効 参加が被爆国の責務だ

[PR]

 核廃絶を求める全ての人の願いが、歴史的な一歩を踏み出した。

 核兵器禁止条約がきのう発効した。核兵器は非人道的な「絶対悪」だとして開発や保有、使用まで全面的に禁じる初の国際規範だ。

 国連で2017年に採択され、51カ国・地域が批准した。米国やロシアなどの核保有国は加盟していないが、核は違法であるとの国際世論は高まり、核軍縮を迫る圧力が今以上に強まるだろう。

 条約は広島、長崎の被爆者や連帯する市民たちの長年にわたる訴えが結実したものだ。唯一の被爆国として核廃絶を掲げてきた日本にとっても大きな達成であり、本来なら歓迎するのが当然である。

 ところが政府は、一貫してこの条約に背を向けている。広島、長崎両市長や被爆者団体は参加を強く求めているが、全く聞く耳を持とうとしない。

 政府は米国の「核の傘」に依存する硬直した姿勢を改めるべきだ。加盟して保有国に核廃絶を迫ることこそ、被爆国の責務である。

 核を巡る国際情勢は極めて厳しい。世界にはなお約1万3千発の核兵器が存在している。

 相互不信に基づく核抑止論を前提にする限り、軍拡競争には歯止めがない。使用の意図がなくても偶発的に核戦争が起きかねず、人類滅亡の危険と背中合わせだ。

 だからこそ、保有国の指導者は核廃絶へ踏み出す必要がある。核が関わる安全保障は国家単位でなく、人類全体の観点が不可欠だ。条約はそれを強く訴える。

 バイデン米大統領は、オバマ政権が掲げた「核なき世界」の理念を継承するとしている。来月に期限切れが迫るロシアとの新戦略兵器削減条約(新START)については、延長を目指すとした。

 停滞していた米ロの核軍縮が、再び動きだすことを期待したい。

 米中間でも新冷戦と言われる対立が核軍拡を招き、北朝鮮は核開発を続けている。日本の平和と安全保障に直結する東アジアの情勢を見ても、核兵器禁止条約の重要性はますます高まっている。

 だが、菅義偉首相はきのうの参院本会議で「条約に署名する考えはない」と改めて表明したばかりか、発効後に開かれる締約国会議のオブザーバー参加にも慎重姿勢を示した。あまりに後ろ向きだ。

 核保有国と非核国の橋渡しに努めるとも繰り返したが、両者の対立が深刻化する中で何をしてきたのか。せめて会議には参加し、加盟国の訴えに耳を傾けるところから始めるべきである。

PR
ページの先頭へ戻る