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<みなぶん>古関裕而作曲、幻の球団歌「東映フライヤーズの歌」の謎 (下)

 古関裕而(1909~89年)が作曲した幻の球団歌「東映フライヤーズの歌」。その楽譜や歌詞は、古関の故郷・福島市の「古関裕而記念館」に存在した。しかし、どんな経緯で作られたのか、手がかりは見つからない。取材は続く-。(文/報道センター・伊藤駿)

福島市の古関裕而記念館。ここに楽譜や歌詞が保存されていた(常設展示をリニューアル中のため、3月まで臨時休館中)
福島市の古関裕而記念館。ここに楽譜や歌詞が保存されていた(常設展示をリニューアル中のため、3月まで臨時休館中)

■古関裕而記念館へ

 ともあれ、実際に楽譜と歌詞をこの目で確かめるため、12月下旬、福島市の古関裕而記念館に飛んだ。

 見開き2ページの左に「メロディー譜」、右に「ピアノ伴奏譜」。右下に「YUJI KOSEKI」とクレジットが印刷されていた。五線譜の上に鉛筆書きの音符が並ぶ。「力強く、堂々と」と記され、テンポの指示もあった。

 曲名は「東映フライヤーズの歌」。「42・7・9 改訂」という記載もあった。

「東映フライヤーズの歌」の楽譜。創作の跡が残る(著作権保護のため、写真を一部加工しています)
「東映フライヤーズの歌」の楽譜。創作の跡が残る(著作権保護のため、写真を一部加工しています)


 楽譜には、鉛筆で斜線が引かれたり、消しゴムで消して書き直したりした箇所がある。古関は、消しゴム付き鉛筆を愛用した。

 「ここが気に入らなかったのでしょう。頭にメロディーが浮かび、書き留めようと、鉛筆で上から消してますね」。氏家浩子学芸員(64)が、楽譜を指さす。

楽譜を指さす氏家浩子学芸員
楽譜を指さす氏家浩子学芸員


 「これは自筆譜ですが、古関は校歌や社歌などの曲は完成したら依頼者にペンで清書した楽譜を必ず送ります。校歌は大事なものだからと校長室の金庫に保管されていて、50年後に発見されたりしますね」

 東急の社報に掲載されていた楽譜と見比べると、メロディーが違うことに気付いた。氏家学芸員にも確認してもらう。「全然違いますね。本当に小関の作品なの」と驚いた表情を見せる。東映は「変ホ長調」で「4分の4拍子」。東急は「ハ長調」で「8分の6拍子」だ。

 歌詞は、和文タイプライターの青焼きコピーだった。作詞者の藤浦洸の「洸」が手書きだ。「洸の字がタイプになかったのでしょう」。歌詞はおおむね似ているものの、違いもある。例えば3番の歌詞。東急は「かの青空」なのに対し、東映は「彼(か)の大空」となっている。

「東映フライヤーズの歌」の歌詞。「洸」が手書きになっている
「東映フライヤーズの歌」の歌詞。「洸」が手書きになっている


 「ちょっと直したというレベルではありません。別ものの曲と考えた方が良いと思います」。記念館には、これまで東急の楽譜はなかった。

 氏家学芸員は、こう解説する。

 「球団が変わり、作り替えたのでしょう。東急と東映で曲が違うというのは発見ですね」

(年齢・肩書は掲載時)

▼「東急フライヤーズの歌」の歌詞の全文や楽譜の写真は、北海道新聞1月17日付朝刊に掲載しています。

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