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「助け合い」の前に

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治承四年(1180年)、平重衡(しげひら)の軍勢による焼き打ちで大仏殿をはじめ伽藍(がらん)の大半が焼失した奈良・東大寺。大勧進として復興事業を指揮した俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)が拠点として設けた「別所」には、全国から大工やきこりが集まった▼僧侶で「シャンティ国際ボランティア会」を創設した故・有馬実成(じつじょう)師は、「今でいうボランティアセンターのようなもの」と語ったそうだ(「阪神・淡路大震災10年」文理閣)▼災害の多い日本では、古くから助け合いがあった。大きな転機となったのが、きょうで発生から26年となる阪神・淡路大震災だ。「ボランティア元年」ともいわれる。震災に限らず、災害現場で支援に当たる姿は今や珍しいものではない。定着のきっかけとなったことは間違いないだろう▼なぜ、見ず知らずの人々が集まり、協力できるのか。同著は、ボランティアとは危機的状況下で協働を生み出す仕掛けであり、「助け合い」の気持ちが導入手段になると分析する▼国も自治体も機能しないような状況に生まれる「何かをしたい」という衝動が原動力となり、新しい助け合いの形を生んだということだろうか▼気になるのは、近年の「ボランティア慣れ」だ。その活動を前提とするような発言も見聞きする。まずは国や自治体が責任を持って災害に備え、「公助」を尽くすべきだろう。東大寺再建も重源の尽力があってこその偉業成就である。2021・1・17

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