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最古のコンビニ 札幌で50年 セイコーマートはぎなか店 セルフ方式、レジで売り上げ管理 大幅に経営効率化
今や日常生活に欠かせないコンビニエンスストア。その道内1号店「コンビニエンスストアはぎなか」が札幌市北区に誕生して今年、50年を迎える。今もセイコーマートはぎなか店として営業し、現存する日本最古のコンビニとされる。初代オーナーの萩中末雄さん(83)にその始まりを聞いた。
「画期的だった。感覚でつかんでいた売れ筋などが見えるようになり、経営が一気に近代化した」
萩中商店は1971年8月10日、「コンビニエンスストア」の名を掲げて新装開店した。データに基づいて経営を近代化するとともに、小売店を組織化して商品を一括供給する―。米国を参考に「ヨキミセサカエル」のカタカナ8文字を記した分類キー付きのレジを導入した。「ヨ」は野菜や果物、「キ」は日配品やアイス―。百貨店で使われていたレジをコンビニ用に転用し、八つの商品部門ごとに売り上げを管理した。
萩中さんは61年、家具職人として働く傍ら、生計の足しに食料品や日配品を扱う萩中商店を開いた。この時、仕入れ先の酒類卸丸ヨ西尾(現セイコーフレッシュフーズ)の担当営業マンが故赤尾昭彦氏(セコマ前会長)だった。
赤尾氏からの助言で、塩やたばこ、酒の販売免許を取得した。「仕事熱心で計算が速い。免許申請や決算、所得税の申告書も作ってもらった」。未経験で商店主となった萩中さんにとって頼りの存在の赤尾氏から、コンビニへの転換を持ちかけられたのは70年ごろ。高度成長期で、一面畑だった店の周辺にはアパートなどが建ち、経営は軌道に乗り始めていた。道内はおろか国内にもなかった新業態に不安は尽きなかったが、最後は「この人なら任せられる」と腹を決めた。
開店資金として約350万円を借金した。15坪の店内の壁際に並べていた商品を棚に陳列して通路を作り、店内を一巡すれば必要な商品がそろうようにした。ビールなどを冷やす大きな冷蔵庫も珍しく、電気代がかかるため「冷やし賃」を取った。客が自分で商品をレジに持っていくセルフサービスの導入は、大きな経営効率化につながった。
赤尾氏は頻繁に店を訪れては売り上げを見て店内のレイアウトや商品構成を変えた。「真剣でした。赤尾さんにとってもコンビニは冒険だったんでしょう」。その姿は今も鮮明に残る。