PR
PR

<立ち向かう新型コロナ>「最期は家族と」かなえたい 面会制限敬遠、増える在宅患者 終末期医療が変わる契機に

 新型コロナウイルスの感染対策のため、入院患者と家族の「面会制限」に乗り出す医療機関が相次ぎ、終末期の家族のみとりに影響が出ている。新型コロナの対応などに追われる病院から入院中の容体など十分な説明を受けられないまま大切な人を亡くし、深い喪失感を抱える家族も少なくない。病院でクラスター(感染者集団)が相次いだ札幌や旭川では面会制限を避け、在宅診療への切り替えを求める家族も増えている。

 「病院から『感染対策の規則により会わせられない』と言われ続け、眠れない日が続いた」。空知管内の自営業男性(81)は、腎臓の持病の悪化で昨年6月に入院した妻のことをそう振り返る。余命数カ月と宣告されたが面会を制限され、不安から体重は5キロ減った。

 別の医療機関で働く看護師の妹(71)が病院側に掛け合うなど交渉を続け、通路で面会が許可され、孫とも会えた。その後、容体が悪化したため1日15分の面会が認められるようになった。妻は同8月に他界。男性は「最終的に少しでも会えてよかった。余命がわずかな場合、一律に制限せず患者や家族に寄り添ってほしい」と話す。

 室蘭市の60代女性は同11月、札幌に住む姉から「息子が新型コロナに感染して札幌の病院に入院したが、状況がまったく分からない」と相談を受けた。

 姉の息子は40代で、肺がんの通院治療を受けていたため、重症化リスクがあった。入院先では医師や看護師も感染していて人手不足がうかがえたといい、姉が電話やオンラインで面会を希望しても「待ってください」と言われるだけ。病院から「容体が急変した」と連絡があった直後に息子は死亡し、家族と会えないまま火葬場に送られた。女性は「何の準備もなく最期に直面し、姉は今も立ち直れていない」と声を落とす。

 こうしたなか、医療法人社団豊生会(札幌市東区)には昨年から、入院患者やその家族を中心に「制限なく会えるよう在宅診療に切り替えたい」などの相談が相次いだ。在宅患者は感染拡大前より約2割増えた。

■孫たちがみとり

 同7月、肺がんで入院していた女性=当時(77)=も在宅に切り替え、同会の医師の診察を受けた。孫の結婚式の前撮りに参加し、行きつけの店でラーメンを食べる目標も実現。女性は同8月、孫たちにみとられ、同会には家族から「臨終の場は感謝を伝える場だと改めて教わりました」と謝意が伝えられたという。


 在宅緩和ケアの第一人者で、東京で診療所を開設する山崎章郎さん(73)は「主流だった病院でのみとりが難しくなり、最期のあり方が注目されている。『多死社会』に向け、在宅診療医や家族を支えるボランティアの育成など体制づくりが急務だ」と指摘する。

残り:306文字/全文:1406文字
全文はログインすると読めます。
ログインには、電子版会員かパスポート(無料)の申し込みが必要です。
PR
ページの先頭へ戻る