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<書評>平川克美

《1》ブルシット・ジョブ デヴィッド・グレーバー著(酒井隆史ほか訳/岩波書店、4070円)
《2》父と子の絆 島田潤一郎著(アルテスパブリッシング、1980円)
《3》縁食論 藤原辰史著(ミシマ社、1870円)

 《1》は、資本主義がもはや賞味期限を終えて、袋小路に入り込んでしまっている様子を「クソどうでもいい仕事」という言葉で、鮮やかに切り取る。現代社会の病根を最も深いところで見つめ直し、剔抉(てっけつ)する手つきは読者の共感を誘うだろう。本書が、稀有(けう)の人類学者にして、柔軟なアナキストの最後の著作になった。
 《2》は、夏葉社という一人出版社を立ち上げ、歴史に埋もれたマイナーポエットを復刻している島田潤一郎の子育てエッセー。全てのページから、この人の温かい無償の愛情が立ち上ってくる。思わず涙がにじむ。
 《3》は、ポスト資本主義の生き方を思わぬ角度から照らし出す。銭湯という公衆浴場があるのなら、公衆食堂というものがあってもいい。そこは孤食ほど孤独ではなく、家族のだんらんほど押し付けがましくもない、緩やかな連帯がある。それを著者は縁食と名付けた。縁食の場は、単なる食事の場を超えたポスト資本主義の行方すら指し示している。

(文筆家)

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