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核禁条約発効へ 廃絶へ歴史的な一歩だ

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 「核なき世界」の実現に向けた歴史的な一歩だ。

 核兵器の開発から実験、保有、使用まで全面的に禁じる核兵器禁止条約の批准数が、条約発効の要件である50カ国・地域に達した。90日後の来年1月22日に発効する。

 史上初めて核兵器を非人道的で違法とみなす国際条約である。広島、長崎への原爆投下から75年の節目に、あの惨劇を二度と繰り返してはならないという被爆者の訴えが条約として結実した。

 核兵器廃絶を求める強い決意が国際社会の法規範になることは、核使用への歯止めと軍縮の圧力となり、大きな意味がある。

 問題は米ロなどの核兵器保有国や、唯一の戦争被爆国である日本が不参加なことだ。

 これを機に、核保有国は核廃絶に踏み出さなければならない。日本はそれを後押しするために、条約を批准して核廃絶への意思を明確に示す責務がある。

 条約は2017年、国連加盟の3分の2近い122カ国の賛成で採択され、その年のノーベル平和賞は条約を推進した非政府組織(NGO)の核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が受賞した。

 発効決定は被爆者を中心とした市民が原動力となり、国際社会を動かした結果と言える。国連のグテレス事務総長は声明で「世界的運動の到達点だ」と評価した。

 だが、核廃絶への道は険しい。

 1970年に核拡散防止条約(NPT)が発効し、核保有国を米ロ英仏中の5カ国に限定した上で核軍縮を義務づけたが、現実はむしろ逆行する動きが目立つ。

 核保有により敵の攻撃を未然に防ぐとする核抑止論が背景にあり、軍拡競争に陥っているためだ。条約は核抑止に頼る安全保障政策の転換を迫っている。

 米国は条約批准国に批准取り下げを求める書簡を送ったとの報道もあるが、事実なら言語道断だ。

 世界にはなお約1万3千発の核兵器がある。9割は米ロが持つが、中距離核戦力(INF)全廃条約は失効し、来年2月が期限の新戦略兵器削減条約(新START)は延長されるか予断を許さない。

 イスラエルやインド、パキスタンは核を持ち、北朝鮮やイランの核開発も懸念される。核の脅威はかつてなく高まっており、国際社会の協調した対応が欠かせない。

 日本は保有国と非保有国の「橋渡し役」になると言い続けているが、一体何をしたというのか。米国の「核の傘」に依存するばかりでは各国の失望を招くだけだ。

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