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<みなぶん>読者から地名の疑問続々

 読者と調査報道に取り組む「みなぶん特報班」が、胆振管内厚真町で「あつま」と「あづま」と読み方が混在している背景を取材し、9月13日付の紙面で紹介したところ、道内各地から「読み方が二つある地名」の情報が続々と寄せられた。根室管内別海町、札幌市北区の麻生町、小樽市の長橋地区―。読み方を調べた。

 まずは別海町。町民に読み方を聞いたという読者から「『べつかい』と『べっかい』のどちらでもいいとのことでしたが、本当はどっち」と、投稿が寄せられた。

 「つ」なのか「っ」なのか。別海町総務課によると、1971年の町制施行に先立ち、旧別海村が70年、町名の読み方を「べつかい」として、道に届け出た。ところがその後も「べっかい」と呼ぶ町民が多く、町内では長い間、町名の読み方について論争が続いたという。

 市町村名は、1947年施行の地方自治法で「従来の名称による」と明記された。総務省の担当者は「市町村それぞれが、それまで使っていた名称を使うことになった」と説明。名称変更については「法の定めはなく、条例で定める」ことになっている。

 別海町は論争に決着をつけるべく、2008年に町長の諮問機関「町名呼称検討委員会」を設けた。そして当時の町長は、委員会答申を踏まえ、町議会で「『べつかい』も『べっかい』もどちらも正当性がある」と述べ、いずれの読み方も認める判断をした。

 投稿を寄せた読者が町民に聞いたとおり、どちらも正しかった。ただし町の公文書などに町名の呼び方を記載しなければいけない場合は「従来通り『べつかい』を使っている」(総務課)という。

 次は自治体名でなく、地域の名前で、市営地下鉄南北線の起点として知られる札幌市北区の麻生町について、読者から「あさぶ」なのか「あざぶ」なのか、問い合わせがあった。

 総務省によると、市町村の地域名は、市町村議会の議決と自治体の告示を経て定める。

 麻生町の「さ」は濁らないのか濁るのか。麻生町は、1959年の札幌市議会の議決で、当時の「琴似町新琴似」の一部から変更になった。読み方は「あさぶ」だった。

 ところが、麻生商店街振興組合の奈良正彦事務局長(66)によると、「東京都港区の麻布(あざぶ)の印象が強いのか、昔も今も『あざぶ』と読まれることが多い」のだそうだ。

 麻生町には明治から昭和期にかけて亜麻工場があり、地名の由来になった。同振興組合は正しい読み方を広めるため、2014年に亜麻をモチーフにしたご当地キャラクター「あさぶー」を作った。ポスターに描かれたあさぶーは「あざぶ」じゃなくて「あさぶ」だよと呼び掛ける。

亜麻をモチーフにしたご当地キャラクター「あさぶー」のポスター。「あざぶ」じゃない―と呼び掛ける
亜麻をモチーフにしたご当地キャラクター「あさぶー」のポスター。「あざぶ」じゃない―と呼び掛ける

 小樽市の西側に位置する長橋地区。市戸籍住民課によると、読み方は、1969年の市の告示で「ながはし」と決められたが、読者から「圧倒的に『ながばし』と言う人が多い」と指摘があった。市の担当者も「地元では『ながばし』が定着している」と認める。

 なぜ「ながばし」?。市総合博物館の石川直章館長(63)は「発音しやすい方が住民に広く浸透したのでは」と推測している。(佐藤圭史)

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