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新政権と経済 実を結ぶ成長戦略描け

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 コロナ禍で傷ついた経済の再生は新政権の最重要課題の一つだ。

 だが菅義偉首相は行き詰まったアベノミクスの継承を掲げるだけで、具体的な打開策も、目指す経済社会の将来像も見えてこない。

 アベノミクスは円安株高で大企業や富裕層を潤す一方、地方や中小企業は成長の果実が行き届いた実感を得られず、格差が拡大した。成果と誇った雇用情勢の改善も実態は賃金が低い非正規の増大だ。

 日銀の大規模金融緩和と大盤振る舞いとも言える財政出動は市場をゆがめ、国の借金を膨らませた。

 一刻も早く政策転換を図り、安倍政権で成果が乏しかった成長戦略を描き直さなければならない。

 新政権がまず取り組むべきは感染抑え込みと経済活動の両立だ。

 コロナ関連の解雇や雇い止めは非正規を中心に5万4千人に達し、倒産も500件を超えた。新卒者の採用内定取り消しも広がる。年末に向けさらに増えかねない。

 暮らしと雇用の維持を最優先に支援を切れ目なく講じるべきだ。

 気がかりなのは、首相が観光支援事業「Go To トラベル」を先導するなど、感染対策より経済重視の姿勢が目立つことである。感染抑止が経済回復の大前提であることを忘れてはならない。

 成長戦略について、首相は携帯電話料金の値下げなど自ら推進した政策を誇っているが、そこからは競争や効率を重視する新自由主義的な考えが透けて見える。これでは格差が広がるばかりだ。

 首相が意欲を示す中小企業や地方銀行の再編も例外ではない。

 後継者不足に悩む企業の事業継承を促し、廃業や倒産を防ぐ必要はある。だが雇用の7割を支える中小企業を効率化重視で再編すれば、生活や経済の基盤を揺るがす。

 地銀再編も規模拡大で収益力を上げる狙いだろう。ただ経営環境が悪化した最大の要因は日銀の超低金利政策だ。そこを放置したまま、地銀に強みである地域密着を薄めかねない再編を求めるのか。

 コロナ下では、安定した雇用や事業環境のもとで生産性向上に取り組むことを優先すべきだろう。

 競争一辺倒ではなく、地域経済の地力を高め、全体を底上げする戦略を打ち出さねばならない。

 アベノミクスの柱である大規模緩和の弊害も直視すべきだ。日銀による国債の買い支えは、政府の資金繰りのために日銀が紙幣を刷っているも同然との指摘もある。

 感染の収束にめどがつけば、金融政策を正常化する「出口」戦略を真剣に考える必要がある。

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