PR
PR

「北海道で働こう! お仕事フェスタ」 スペシャルトーク詳報

<スペシャルトーク詳報>※9月3、4の両日、オンラインで開催された就活イベント「北海道で働こう! お仕事フェスタ」から

《1》伊藤博之氏(55)=クリプトン・フューチャー・メディア社長

■「ツクルを創る」

 当社は1995年に設立し、今年で25年がたつ会社です。みなさんより少し年上でしょうか。北海道大学発ベンチャーにも認定されています。うちの会社のキャッチコピーは「ツクルを創る」。音声や映像などさまざまな素材の中から音に注目し、クリエーターの人たちが使えるように配信するプラットフォーム、つまりコンテンツを創造するクリエーターのための環境づくりをしています。


 「初音ミク」というのはキャラクターでもあるのですが、もともとは歌を歌うソフトウエアです。多くのクリエーターさんが初音ミクに歌を歌わせて、動画をつくって、インターネットに公開しているのです。クリエーターと一緒にコンサートを企画したり、グッズを商品化したりしています。コンサートは日本国内だけでなく中国や欧州など世界各地で実施しています。


 このほか、みなさんがよく使う札幌のチカホ(地下歩行空間)で、トイレの位置などの施設案内やイベント情報、お店情報などを発信するアプリを開発したりもしています。取引先は音楽関係やゲーム関係、地場企業など多岐にわたっています。

■「T字形」の事業

 当社の事業はT字形です。まずは得意分野を深く掘り下げていく。サウンド素材やバーチャル楽器などです。その中でサーバーを構築する技術や検索する技術などに詳しくなり、今度はその知識や技術を何かに応用できるのではないかと横方向に事業を広げていきます。垂直と水平でバランスよく広がれば形の良い正三角形になります。縦だけ伸ばすと細長くなり、横だけでも平べったくなり、いずれも面積は小さくなってしまいます。


 具体的には、たとえば「初音ミク」を地元北海道のために生かせないかという発想で取り組んだのが「スノーミク」という派生したキャラクターで、北海道を応援するというコンセプトになっています。もともとは「さっぽろ雪まつり」の雪像から生まれました。雪像が「雪ミク」と呼ばれ、見に来るお客さんが集まったわけです。そこから、いろんなところに出没して、冬の北海道を盛り上げ、発展していきました。札幌市と連携してラッピングした市電を走る取り組みもやっています。ファイターズやコンサドーレなどプロスポーツとのコラボ企画もやりました。

■「シメパフェ」秘話

 「シメパフェ」のことも紹介します。もともとは北海道の食材を用いた食べ物を出すカフェの開店がきっかけです。私の出身地である道東の標茶町の牛乳を使いました。札幌・ススキノの飲み屋街でパフェを出す店を紹介するマップを作り、テレビや新聞で紹介され、新しい食文化として認められ、それが一つの観光資源になっていったわけです。


 標茶町のミルクを使った経緯から、今度は標茶町のまちおこしにパフェを活用できないかなとなって、標茶高校と町とうちの会社が連携してパフェプロジェクトに取り組んでいます。生徒が考案したパフェを町内の喫茶店でメニューとして出したり、お祭りで出品したりしています。

■今年も「ノーマップス」

 もう一つは毎年10月に開催している「ノーマップス」の取り組みです。ITやデザインなどの頭脳労働を観光や農業などの地場産業と掛け合わせることで何か新しいものが生まれるのではないかということで、ビジネスカンファレンスという形でセッションを行います。「マチをクリエーティブに活性化しよう」という取り組みです。民間企業と官公庁と大学の産官学が連携し実行委員会をつくって運営しています。今年はコロナの影響で人が集まっての開催は難しいので、オンラインでの開催を計画しています。学生は無料です。ぜひ参加してみてください。

■北海道にチャンスあり

 北海道にはチャンスがたくさんある。食や観光の資源が豊富で、地球温暖化も北海道にはプラスの面がある。しがらみが少ない寛容な社会というのも良さです。ドローンの活用や自動車の自律走行の技術開発などの先端的な分野でも、ITクリエーターが集積している札幌は優位性がある。


 これまで北海道の課題として、よく言われているのが付加価値が低いことです。広い土地があり、優良な漁場もあり、農作物や魚介類といった1次産品の出荷は全国1位ですが、とれたものをそのまま無加工で出荷する割合がとても高い。付加価値率という指標を見ると全国44位、つまり下から3番目ということです。付加価値を高めれば、より儲けが大きくなる、収入が増えるのです。

■クリエーターの活躍期待

 この課題を解決するためにはクリエーターの活躍が不可欠です。売り方やパッケージの仕方などは、その商品をより高く売るための付加価値づくりなのです。その意味で北海道はクリエーターが活躍する場がたくさんあると考えてほしい。テクノロジーの活用もそうです。たとえば農業でもテクノロジーによって付加価値を高めればビジネスの可能性が広がり、収入増を期待できます。

■今から20年後は…

 今から20年前、つまり2000年、みなさんが生まれたころでしょうか、CDの売り上げがピークとなり、インターネットの普及率は11%、携帯電話にはネットもカメラも搭載されていなかった。では今から20年後はどうか。2040年、平均寿命が100歳を超えているとか、自動運転が実現し、ロボットが労働を代替するとか、正確に予想するのは難しいですが、生活総研の「未来年表」という便利なウェブサイトがあるので、それをぜひ見てください。何年後にはどうなっているというのがなんとなく分かります。それを見ると自分が今何を学べば将来役立つのか、どんな業界に就職すればいいのかといったことが見えてきます。


 最後に、みなさんも「T字」を実践してほしいと思います。やりたいことを何でもいいのでがむしゃらに垂直方向に深く探求していくのです。そうするといろんなことを覚えたりできるようになったりするので、今度はそれを応用して水平方向に広げていけばいい。そして、ぜひ北海道を再評価してみてください。北海道は可能性の宝庫です。


《2》横田陽(あきら)氏(43)=レバンガ北海道CEO

■来年で創設10周年

 本日は北海道でスポーツをビジネスにすることについて、働く意義や働く上で必要なことなどを話します。まずは会社の紹介をします。プロバスケットボールチームを運営しています。2011年に生まれて来年10周年を迎えます。名前の由来は「ガンバレ」を逆さまから読んだもので、道民から頑張れと応援してもらえるようなチームを目指しています。昨シーズンで選手を引退した折茂武彦さんと私が共同代表を務めています。


 バスケは実は世界で最も競技人口が多いスポーツです。4億5千人がプレーしています。サッカーが2億5千万人なので、倍近い数字です。国内の中高生の部活動でも男女合わせて43万人で、サッカーや野球よりも多い。ポテンシャルを持った競技なのです。


 レバンガは女性に人気があります。だいたい6対4で女性のファンが多い。年齢を見ると20~40代が8割弱を占めていて、野球やサッカーより少し若いと言えます。Bリーク1部「B1」で昨シーズンの順位は18チーム中14位でしたが、入場者数は4位、つまり弱いけど人気のあるチームと言えます。

■権利ビジネスと無形の価値

 プロスポーツは一言で言うと権利ビジネスです。試合を開催する興行権、試合を放送する放映権、選手の肖像権、関連グッズ、書籍などの著作権など、われわれは物を売る商売ではなく価値を売る商売なのです。その価値がある商品とは、選手やチーム、さまざまなコンテンツであり、その価値を総体的に高めていくことが放映権や肖像権などの利用価値を高めることになるわけです。


 レバンガの目的は質の高い試合をお客さんにお見せする、そしてチケット収入を得る、そのことも大事なのですが、それだけではありません。北海道の経済や観光、子供たちへの教育、育成、医療や健康など、いかに地域のお役に立てるかがわれわれの存在意義だと思っています。試合での勝ち負けと同じぐらい大事にしています。


 そのためには選手にはサンタの格好をさせたり女装させたりもします。選手のほうもチームの価値を高めるということを理解した上で主体的に取り組んでくれています。このことが順位にかかわらず人気を維持している要因にもなっていると考えています。


 地域貢献活動で最も大事なのは直接的なコミュニケーション、交流の場を持つことです。身長が190センチ以上の選手が学校を訪問して、手も足も大きくて、子供たちはとても喜んでくれます。その子供たちがレバンガの試合を観戦に来てくれる。学校に来てくれた、あの選手を見たい、応援したい、というふうになります。

■コロナ禍での取り組み

 コロナの影響でコートで練習ができない子供たちのために、自粛期間中も練習ができるようにトレーニンググッズを集めるクラウドファンディングに取り組みました。選手がオンラインで動画を配信したり、さまざまなメッセージを発信しています。


 まずは認知、興味を高めて、新聞やテレビに取り上げられるようになり、露出が増えれば、広告価値が向上し、スポンサーの広告料もアップ、クラブの収入が増加することで選手の補強やサービス強化も行えるようになり、観客も増える、そんな好循環になります。


 レバンガはBリーグで初めて、オンラインサロンを始めました。月額の課金制で、特定のコミュニティーの中で情報を発信していく取り組みです。「新たな資金集めですか?」と言われましたが決してそうではなくて、ファンづくりなのです。共感する仲間をつくることでファンが増える。仲間を集めれば結果的にクラブの経営は安定するのです。

■経済効果は12億円以上

 今年1月に札幌でBリーグのオールスターゲームが行われました。誘致活動が成功したわけですが、その経済効果はメディアへの露出といった間接的なものも含めれば12億円以上になりました。


 われわれは社会問題の解決に貢献しなければならないと考えています。われわれの企業理念は人々に感動を届け、世の中を笑顔にすることです。チームが勝つことはミッションですが、社会貢献はビジョンです。

■今の時代に必要な力

 最後に、今の時代に必要な三つの力について話をします。一つ目は「疑う力」。当たり前、普通、常識といった言葉はもう通用しない時代になっています。たとえば10年後の社会は65歳以上の高齢者が人口の半分を占めるという超高齢化社会になると言われています。さまざまなテクノロジーがそれを補うことになるでしょう。われわれが想像していないような価値が生まれていくと思います。これまでの常識を「これでいいいんだっけ?」と疑う力です。ピッチャーは投げるだけで打たなくていいという常識も大谷翔平選手が打ち破ってくれました。疑問に思ったことをそのままにせず、考える。そんな力を養ってほしいと思います。


 二つ目は「気づく力」。問題を発見する力です。方程式を立てて答えを求める教育は受けてきたと思いますが、たとえばゴミが落ちていて、そのゴミを見たときに「拾って捨てる」という解決方法は、みなさん気づくと思います。でもなぜそこにゴミが落ちているんだろうと考えるのが私の言う「気づき」です。ゴミ箱が近くにないので捨てたのではないかという仮説を立て、じゃあここにゴミ箱を設置すれば解決するのではないか。これが本質的な気づきだと思っています。


 三つ目は「収集した情報を変換し応用する力」。アンテナを立て、いろんな情報をインプットする中で、新聞は自分の好きな情報だけじゃない、幅広い情報が入ってくるのでとても有効です。情報は今、砂の数以上にあって、あふれています。その情報をいかにアレンジし、自分事に置き換えて有益なものにするか、その力が求められています。


 これから学生のみなさんは、いろんなところで働くと思いますが、働くことが目的なのではなくて、好きなことを追求し、思いをささげられること、人生をささげられることが重要です。みなさんとどこかで一緒に仕事ができればいいなと思っています。ちょっと先でお待ちしています。(編集委員 長谷川賢)

PR
ページの先頭へ戻る