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<棋士快晴>将棋・都成竜馬六段 王位戦 突然の大役に緊張

 第61期王位戦7番勝負は若き挑戦者の4連勝で幕を下ろした。最年長初タイトル獲得の記録を持つ木村一基王位(当時)と、最年少記録を持つ藤井棋聖の番勝負ということもあり、世間的にも大きな注目を浴びたシリーズだった。

 スコアは偏ったが、その内容はどれも濃いものだったと思う。特に第2局の北海道対局は名局で、王位が会心の指し回しで優位を築いたが、そこからの挑戦者の追い込みがすさまじく、劇的な逆転勝ちを収めた。結果的にはこの1局が本シリーズの流れを決めたように思う。

 第3局は神戸市の有馬温泉で行われたのだが、この対局で私は初となる副立会人を務めた。

 副立会人は立会人のサポート役、という認識だったが、実際に経験してみると、それ以外にもさまざまな役割があることが分かった。例えば記者の方へ解説をするのも重要な仕事の一つ。常に戦況を読む必要があるのでなかなか気を抜けないが、現地で真剣に観戦するというのはこれ以上ない勉強でもあるので、とてもありがたい仕事だと思う。

 また、インターネットテレビ局「ABEMA(アベマ)」の中継では現地リポートも務めた。スタッフの方から足湯と食レポ、どちらが良いですか?と聞かれ、考えた末に足湯と答えたのだが、気が付いたら足湯をしながら食レポをしていた。何事も経験である。

 王位戦は2日制なので、1日目は封じ手が行われる。封筒に棋戦名などを立会人が記入するのが慣例だが、今回立会人の淡路仁茂九段のご厚意で急遽(きゅうきょ)私が書かせてもらうことになった。突然の大役に緊張したが、とても貴重な経験をさせていただいた。

 1日目が終わり、夜は豪華な食事と温泉を堪能した。対局場の中の坊瑞苑さんは大変素晴らしい宿で、最高のおもてなしをしていただいた。いつかプライベートでも泊まりたいものだ。

 2日目に入りじりじりとした展開が続いたが、うまく戦機を捉えた挑戦者がリードし、徐々に差が付いた。しかしそこから王位の粘りがすさまじく、最後はどちらに転んでもおかしくなかったと思う。特に90手目の△6二銀は他の棋士には指せないすごい手だった。

 第4局も敗れて失冠となったが、木村先生のことだ。捲土重来(けんどちょうらい)を期すだろう。そして私自身の王位戦予選も始まる。厳しい道のりだが、次は対局者として来られるように頑張りたい。

<略歴>となり・りゅうま 1990年、宮崎市出身。谷川浩司九段門下。奨励会三段在籍中の2013年に新人王戦を制し、史上初の奨励会員による一般棋戦優勝を果たした。16年、26歳の年齢制限ぎりぎりで四段に昇段しプロ入り。19年に六段に昇段した。

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