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検証・安倍外交と安保 目に余る対米追従だった

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 第2次安倍晋三政権は歴代最長の7年8カ月に及び、国際社会で日本の存在感を一定程度は示したと言えよう。

 だが外交の実相は「対米追従の加速」だったことは間違いない。

 首相が退陣表明の記者会見で、外交・安全保障政策の成果として、集団的自衛権の行使を容認した安全保障法制の制定を挙げたことが、その証左だろう。

 米国はかねて日本に、より軍事的な役割を担うよう求めてきた。

 同時に機密保持も要求し、安倍政権は国民の知る権利を脅かす特定秘密保護法の制定も強行した。

 集団的自衛権の行使は、他国の武力紛争に介入することになりかねず、歴代内閣は憲法が禁じる海外での武力行使に当たるとして、違憲との見解を示してきた。

 それを一内閣の判断で覆していいはずもない。安倍政権の憲法をないがしろにする姿勢は際立っていた。違憲の疑いが強い安保法制は廃止するのが筋だ。

 対米追従の末の国益は何なのか。その説明も十分ではなかった。

 次の政権は、憲法の平和主義に則した外交・安保政策へ軌道修正を図らねばなるまい。

■形ばかりの蜜月関係

 首相が政権後半に腐心したのは、トランプ米大統領との「蜜月関係」の構築だった。

 トランプ氏が自国第一主義を強める中、首相は「直言できる首脳」として、日米の親密さをアピールし続けた。

 だが実態は従属的な関係を強めただけではなかったのか。

 トランプ氏は外交と個人的関係は区別し、貿易赤字解消などを強く求めてきた。それに日本は高額の防衛装備品購入などで応じた。

 それと並行して加速したのは米軍と自衛隊の一体化である。

 安倍政権は戦後日本の国是である専守防衛を形骸化させる政策も次々と進めた。

 地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の導入断念を受けた敵基地攻撃能力の保有検討もその一つだ。

 日本が「盾」、米国が「矛」とする役割分担を根本から変えるものであり、断じて認められない。

 首相は先の記者会見で、日米同盟を強化した結果として、オバマ前大統領の被爆地・広島の訪問を実現させたことを誇った。

 だが政府は核兵器禁止条約に背を向け続けている。被爆国の責務を果たさない態度には、条約に反対する米国への配慮が色濃い。

 一方、安倍政権は米軍普天間飛行場の辺野古移設を沖縄の声を無視して強引に進め、日米地位協定の改定など、戦後残された懸案については米側に根本的な解決を求めることはしなかった。

 こうしたいびつな対米関係の解消にどう取り組むのか。次の政権が向き合うべき課題は多い。

■「2島返還」重いツケ

 首相が任期中の決着にこだわった懸案の一つが北方領土問題だ。

 ロシアのプーチン大統領との会談は通算27回に及ぶが、その意欲とは裏腹に交渉は進まず、逆に日本が目指してきた四島返還を難しくする重いツケを残した。

 それは、歯舞群島と色丹島の2島返還を軸にした交渉方針に事実上転換したことに他ならない。

 平和条約に向けたロシアとの信頼醸成を狙った北方領土での共同経済活動が進まない中、解決を急ぐあまりの誤った判断だった。

 ロシアは2島返還に応じるどころか「領土の割譲禁止」を明記した改正憲法を発効させ、領土問題は協議しない姿勢を強めている。

 返還を待つ元島民の平均年齢は85歳を超えた。

 次期政権は四島返還を目指す方針に立ち返り、一刻も早く交渉の立て直しを図らねばならない。

■隣国と向き合わねば

 アジアの隣国との関係改善も思うようには進まなかった。

 2012年の沖縄県・尖閣諸島国有化で悪化した対中関係は、改善機運にあったが、中国公船による尖閣周辺への領海侵入はなお続き、安保だけでなく人権、経済を巡る懸案は山積したままだ。

 中国が覇権主義的な動きを強める中、米中対立が激化していることも見過ごせない。

 安倍政権は米国と歩調を合わせて、中国による香港抑圧や海洋進出などをけん制してきた。

 中国には言うべきは言う姿勢が欠かせまい。だが、行き過ぎた米国偏重は避け、中国を国際協調に引き込む役割も求められよう。

 首相が力を注いだ北朝鮮による拉致問題の解決は、米国頼みの状況は変わらず、無条件での首脳会談呼び掛けも不発に終わった。

 韓国とは元慰安婦や元徴用工を巡る対立をきっかけに、その亀裂は貿易や安保面にまで広がった。

 最も近い隣国との対立をこれ以上放置してはならない。次期首相の外交手腕が問われよう。

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