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高額バイトは特殊詐欺の「受け子」だった 函館地裁で有罪判決20代の男性実態語る 指示役に個人情報 「怖くなり引けず」

 短文投稿サイト「ツイッター」で高額報酬をほのめかすアルバイト募集に応じた男らが高齢者宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取る事件が今年、道南で相次いでいる。カードを回収する実行役として逮捕され、函館地裁から7月に有罪判決を受けた20代の男性が北海道新聞の取材に応じ、事件に加わった経緯を語った。実行役は、指示役の顔も名前も知らないまま、犯行に及ぶ特殊詐欺グループの実態が明らかになった。

 「途中でやめようと思ったが、指示役に、住所などの自分の個人情報を教えていたので怖くなり、引くに引けなかった」

 警察官を装って函館市内の70代の女性宅を訪れてキャッシュカードを盗み、現金約65万円を引き出したとして窃盗などの疑いで逮捕、起訴された道央の20代男性は、振り返った。

 男性は1月、借金の返済に窮し、スマートフォンからツイッターで「金に困っている」と投稿。すぐに複数のアカウントから、「いいバイトあるよ」などとダイレクトメッセージが送られてきた。

■偽の身分証用意

 メッセージや電話でのやりとりを重ねる中、男性がやるよう指示されたのは、高齢者宅を訪ねて隙を見てキャッシュカードを回収する「受け子」と、カードを使って現金自動預払機(ATM)で現金を引き出す「出し子」。男性は電話相手に言われるがまま、自分の本名や年齢、住所、顔写真、実家の外観写真を送信。さらに、実行時に使用するスーツとマイク付きイヤホン、偽の道警職員証を用意するよう命じられた。

 2月下旬。函館市内の70代女性宅の住所を教えられ、すぐ向かうよう指示された。女性宅には男性の訪問直前まで、電話で高齢者らをだます役割の「かけ子」が「口座に不審な出入金がありキャッシュカードを保管する必要がある」とうその電話をしていた。

 信じ込んでいた女性からキャッシュカード2枚を受け取り、封筒に入れ、隙を見て事前に用意していた別の封筒とすり替え、カードを盗んだ。暗証番号を書いた紙も女性から受け取り、市内の金融機関のATMから現金約65万円を引き出した。

■実行役2人逮捕

 男性の報酬は、引き出した額の5%に当たる約3万円。約2カ月後、防犯カメラの映像などから特定され、道警に逮捕された。函館地裁で言い渡された懲役2年6カ月、執行猶予4年の判決は8月上旬、確定した。男性は「顔も名前も知らない相手に指示されるまま動き、ばかなことをした。だましてしまった被害者に申し訳ない」と悔いた。

 道警函館方面本部によると、道南では今年1~6月に詐欺グループが高齢者宅を狙って電話をかけ、自宅を訪ねてキャッシュカードを詐取する事件は計7件発生し、被害額は計約990万円に上る。7件では、実行犯役の「受け子」「出し子」は男性を含む、2人が逮捕された。

 函館、北斗両市内の高齢者から6月下旬にキャッシュカードをだましとったとして、詐欺などの疑いで逮捕、起訴された函館市内の無職の男(39)も、ツイッターでの募集につられ、詐欺グループに加わっていた。男は道警の調べに対し、「金に困っていた」と供述しているという。

 SNS(会員制交流サイト)などでは「闇バイト」と称し、高額報酬をちらつかせ、特殊詐欺の実行役を勧誘する行為が横行しているとみられる。同本部は「一時の金欲しさで、軽い気持ちで犯罪に手を染めれば、人生を台無しにすることになるので絶対にやめてほしい」と警鐘を鳴らす。(藤山洸一郎)

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