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豪雨災害の教訓 事態急変への即応が鍵

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 九州を中心に深刻な被害をもたらした豪雨は、発生から1カ月が過ぎた。

 川の氾濫と土砂災害が多発し、熊本県を中心に80人以上が犠牲となった。県内では約1400人が避難生活を続けている。

 局所的に大雨をもたらす線状降水帯が夜に発生し、想定を超す雨量が川を瞬時に氾濫させ、逃げ遅れた多くの住民を巻き込んだ―。

 これが今回の豪雨災害の特徴と言える。

 災害時に取るべき行動を時系列に整理したタイムラインの作成や避難訓練といった事前の備えはもちろん、空振りをいとわず一刻も早く避難することの重要性があらためて浮き彫りとなった。

 とりわけ高齢者ら災害弱者は早めに安全確保の行動を起こすことが何より大切だとの認識を、自治体と住民が共有する必要がある。

 道内各地においても、防災体制をあらためて点検し、今後の減災につなげなければならない。

 急流で知られる球磨川では、水が容易に堤防を越え、上流のダムは事前放流が間に合わず雨をせき止めることができなかった。

 梅雨時期の豪雨は近年常態化し、氾濫危険水位を超えた河川数は5年間で5倍に増えた。河川整備だけでは水害が防ぎきれないことが明らかになってきている。

 これを受け国土交通省は先月、ダムや堤防重視から、既存のため池や水田の貯水機能の活用、危険地域の開発規制、避難体制強化などを組み合わせる「流域治水」へとかじを切る方針を示した。

 石狩川など全国の1級水系ごとに、地域に合わせた治水プロジェクトを年度内に策定するという。

 ある程度の氾濫も想定し、いなしてきた先人の治水の知恵を参考に、自然と財政への負荷が小さい取り組みを探ってほしい。

 被災自治体は新型コロナウイルス感染に警戒しつつ復旧に当たる二重の負担を強いられている。災害ごみの搬出も遅れており、対応を急がねばならない。

 猛暑の中、避難生活を余儀なくされたり、孤立した集落で過ごす人々のケアも課題だ。国は激甚災害に指定する方針だが、支援が一刻も早く現地に届くよう、全力を尽くすべきだ。

 現地では、感染拡大を防ぐためボランティアの募集が地元在住者に限られており、人手不足も問題化している。

 道内自治体は、災害時に地域のマンパワーを活用する手だてを今から整えておくべきだろう。

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