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景気後退の認定 実感なき「回復」だった

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 政府は2012年12月から続いた景気拡大局面が18年10月に終わり、翌月から景気後退入りしたと認定した。拡大期間は71カ月にとどまり、戦後最長の「いざなみ景気」の73カ月には届かなかった。

 政府は19年1月に「戦後最長になったとみられる」と表明し、その後も今年2月まで「景気は緩やかに回復している」との判断を維持してきた。政府の認識と実態が大きくずれていたことになる。

 楽観的な景気判断を続け、政策転換が遅れたのは明らかだ。とりわけ19年10月に消費税率を引き上げ、景気を一段と冷え込ませた経済運営は批判を免れない。

 なぜそうなったのか、政府は徹底的に検証すべきである。

 コロナ禍の影響で日本経済は大きく落ち込み、20年度の国内総生産(GDP)成長率は政府の試算でマイナス4・5%となった。感染が再拡大する中、政府が対策の方向性を誤れば底割れもある。

 経済政策の土台となるのは正確な景気判断だ。現状を客観的に見極めねばならない。

 今回の景気回復は長さこそ戦後2番目だが、期間中の経済成長率は平均年1・1%で、過去の回復期に比べ極めて低い。

 足踏み状態の「最弱の景気」と言われ、賃金は上昇せず、国民の多くは好況を実感できなかった。

 第2次安倍政権発足と同時に回復期に入り、政権は政策の成果を誇ってきたが、低空飛行を脱せなかったのは、アベノミクスの効果が小さかったことの証左だろう。

 大規模な金融緩和や財政出動による円安株高を背景に、大企業を中心に輸出で稼いだが、利益は内部留保を増やすだけで、国民生活に回らなかったのが実態だ。

 18年に米中貿易摩擦の激化で海外経済が減速すると、外需頼みの回復は終わり、政権が目指した賃上げから消費拡大につながる経済の好循環は実現しなかった。

 成長戦略も成果が乏しいまま「地方創生」や「1億総活躍」など看板だけを次々と取り換えた。

 恩恵が大企業や富裕層に偏り格差が広がるなど、弊害の方が大きくなったことは疑いようがない。

 政府が「回復」判断に固執したのは、政策の行き詰まりを認めたくなかったのだろう。客観的であるべき景気判断を政治が糊塗(こと)し、政策をゆがめた責任は重い。

 感染収束は見通せず、安倍政権が目指すV字回復は望めまい。首相はアベノミクスの失敗を直視し、景気をどう立て直していくのか、明確な説明が求められる。

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