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新型コロナで人の流れはどう変化 札幌市中心部とススキノ 夜は自粛も仕事は休めず? スマホデータで検証

 新型コロナウイルスによる影響で、札幌市中心部の人の流れ「流動人口」(ある場所で一時的に在住、滞在、活動している人口)はどのように変化していたのか。日本国内での感染者がほとんど確認されていなかった1月と比べて、土日祝日は最大で約8割も減少し、平日でも6割以上減少。また、流動人口は新規陽性患者数の増減とほぼ相関して推移していたー。札幌市立大学地域連携研究センターAIラボの高橋尚人特任准教授が、スマホ位置情報のビッグデータを解析し検証した。(編集本部 奥天卓也 デザイン 高橋智子)

●新規感染者数が行動パターンに影響

 正月休みが明けた1月6日から31日までの、札幌市中心部とススキノ地区それぞれの1日当たりの延べ流動人口(1日に当該地区にいた人の総数)を、平日と土日祝日に分けて算出した。その間の流動人口を1.0とし、2月1日以降の土曜日から金曜日までを1週間として、各週の平日と土日祝日それぞれの1日当たりの延べ流動人口の推移をグラフ化した。また、北海道で確認された新規陽性患者数の週ごとの合計数を算出し、流動人口の推移と比較した。(図1、2)



 流動人口の推移は、中心部とススキノ地区でほぼ同様の傾向だった。土日祝日は北海道が独自の緊急事態宣言を出した2月28日の翌週の第5週目(2月29日~3月6日)に急激に下がり、14週目(5月2日~8日)には最大で80%も減少していた。平日は中心部で最大約60%の減少にとどまったのに対し、ススキノ地区では最大で70%を超えた。仕事のため多くの人が流入する中心部より、歓楽街の方がより影響を受けたことがデータで示された。


 また、流動人口の減少は、新規陽性患者数と真逆に推移していた。新規陽性患者が増加し始めた10週目(4月4日~10日)、政府が全国に緊急事態宣言を出した11週目(4月11日~17日)あたりから流動人口の減少スピードは増加し、減少率のピークと新規陽性患者数のピークの時期はほぼ一致した。緊急事態宣言のほか、患者数増加に伴う関連ニュースが増えたり、緊急事態宣言に従って企業がテレワークを始めたりなど、社会の動きが市民の行動に大きく影響したことがデータからもうかがえた。

 一方、13週目(4月25日~5月1日)以降、新規陽性患者数は急激に減少に転じているものの、流動人口はわずかな増加にとどまった。

 高橋准教授は「緊急事態宣言が出たり、新規感染者数が増加し報道の量が増えたりすると、それに合わせて流動人口も減少するというように、両者の間に大きな相関関係が見られた。このように、当初の感染防止策は外出の自粛という行動に顕著に現れた。その後、新型コロナの特性が分かってくると、外出自粛よりもこまめな手洗いや換気、密の回避など新しい生活様式による感染防止策が浸透し、流動人口は当初ほど減少しなくなるだろう」と分析。また、「経済対策と感染症対策を両立させる今後の目標として、人の動きとコロナの流行とが相関しない感染対策、新しい生活様式を広げていくことが重要だ」と指摘する。

●平日日中の減少率は約25%にとどまる

 2月以降、流動人口の24時間ごとの平均値を求め、1月の24時間ごとの平均値を1.0とした減少率を算出し、土日祝日と平日とで分けてグラフ化した。(図3、4)



 中心部では、平日は7時ごろから減少率は低くなり、日中は25%ほどにとどまったが、18時以降の減少率は急激に増加した。ススキノ地区も同様の傾向だったが、減少率はより高く、22時前後は50%近くまで増加した。土日祝日は中心部、ススキノ地区ともに平日の減少率を大きく上回り、ススキノ地区では全時間帯で減少率が40%を上回った。


 平日の日中は通勤・通学のため7時ごろから中心部にやって来るものの、勤務時間を過ぎた午後6時以降は、外食や遊び、買い物などを避ける人が多かったことがデータから示された。歓楽街のススキノ地区の減少率は顕著に高く、特に土日祝日は外食などを避けていた行動パターンがうかがえた。

■調査方法

 高橋特任准教授は通信大手ソフトバンクの子会社「Agoop(アグープ)」のスマホ向けアプリケーションのユーザーから得た流動人口データを利用。対象エリアは札幌中心部とすすきの地区。中心部は大通公園からJR札幌駅までの南北と、創成川から道庁東側の樽川通りまでの東西。ススキノ地区は南北が北2条通から南6条通まで、東西が西7丁目通から東2丁目通まで。Agoopの数値は統計的に推測された「総人口換算値」で、実際のアプリユーザー数や人出の数とは異なる。

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