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<訪問>「たん・たんか・たん」を書いた 美村里江(みむら・りえ)さん

暮らしへの思い まっすぐ歌に

 俳優でエッセイスト。読書家としても知られる。2016年、雑誌「ユリイカ」の依頼で5首寄稿したのをきっかけに、初の歌集を編むことになった。それから3年かけ、700首作った中から236首を掲載した。日々の暮らしや思いをまっすぐにつづった歌に加え、読んだ本から発想したものもあり、楽しい。

 掌(てのひら)にアボカドの種転がしてやわらげ心臓滑らかに

 「学生時代、詩歌全般が苦手でした」。ひらめきやセンスがないと感じていたという。ただ「取り組む時間が短かった。もう少し時間をかけていたら好きになっていたかもしれません」と振り返る。作歌は自分の成分を煮詰め、浮いてきた結晶をすくい取る作業と考える。「大好きなもの、面白かったものに触発されて作るのは、少しハードルが下がるのでオススメです」。歌を触発された本は絵本や小説、動物行動学の入門書など多岐にわたる。併せて味わえるように、書名も記した。

 ミンザイと言い慣れた口で飲み込んで大事な言葉は白けゆくまま

 役者にとっての「与えられた台詞(せりふ)」と、短歌の中で「配置された言葉」には、似たものがあると感じている。「そのものが大事というより、その前後や間に入っている無音の部分にどんなイメージを膨らませてもらうか、という勝負なのかな」

  本当はここで涙を落としたいでもあと五行先との指示で

 2018年に、芸名を「ミムラ」から改名した。敬愛する作家、向田邦子さんを何度か演じた。「格好いいのに少し抜けたところもあって、人間味があるのも魅力的です。仕事に手を抜かないところは(自分と)似ているかもしれません」。折に触れ、今も作歌する。「文芸誌に7首提出の予定だったのが半日で50首も仕上がって。放っておいたら100でもできそうな感じだった。エンジンは止まっていないようです」

編集委員 恵本俊文


 新型コロナウイルス流行のため対面取材はせず、メールによるやりとりを基に構成しました。

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