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泊原発運転延長 撤回し廃炉の道模索を

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 北海道電力の藤井裕社長が株主総会後の記者会見で、泊原発(全3基)の1号機、2号機について「運転期間の60年までの延長を検討する」と表明した。

 「低炭素社会実現と電気料金の低廉化」を理由に挙げている。

 だが、泊原発は原子力規制委員会の安全審査が7年も続き、再稼働の道筋すら立っていない。

 採算性からも電力業界では老朽原発の廃炉が進む。その流れに逆行する動きだ。

 全国一高い電気料金の値下げは原発再稼働後という。利用者へのどう喝のようにも聞こえる。

 電力自由化によって、北電の顧客は割安な新電力に次々と流出している。今からでも遅くはない。老朽化した泊1、2号機の廃炉模索にかじを切るべきだ。

 原子炉等規制法は原発の運転期間を40年と定め、例外として規制委の認可で最長20年の延長が可能とする。泊1号機は2029年、2号機は31年に40年を迎える。

 これまで全国で4基が延長を認められた。一方で、関西電力美浜第1、2などは廃炉を決めた。東京電力福島第1の事故後、廃炉は福島第1を含め21基に及ぶ。

 泊原発は、規制委が審査を開始した13年7月に、第1陣で申請した。同時に申請した3社7基は既にすべて審査に合格している。

 問題点は数多い。昨年2月には規制委が敷地内の断層を「活断層であることを否定できない」と指摘し、北電は追加調査を進めている。大気中に放出する放射性物質の過少報告も発覚している。

 そんな時期に、延長検討を表明するのは理解に苦しむ。審査をないがしろにしたとも取られよう。

 電気料金値下げを泊原発の全基再稼働後とする方針は、北電の30年までの経営ビジョンに盛り込まれた。「大手電力の地域独占」の思考のままではないか。

 その独占はすでに崩れている。16年4月の自由化以降、新電力に切り替えた世帯は道内の2割近い50万件に及ぶ。

 政府は二酸化炭素排出量の多い旧式の石炭火発を段階的に休廃止する方針を示した。とはいえ、これを泊原発再稼働を目指す方便に使ってはならない。

 旧式火発の穴埋めに老朽原発を運転延長するのであれば、筋が通らない。石狩湾新港の液化天然ガス火発の着実な稼働や、再生エネルギー利用拡充が先だろう。

 道民は安全でクリーンな電力を求めている。その前提でコスト低減を目指すビジョンこそ必要だ。

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