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北方領土が分かる!

<こどもみなぶん>ロシアはとても大きな国なのに、何で北方領土を奪ったんですか?  ロシアにとっては「勝ち得た土地」

 「ロシアはとても大きな国なのに、何で北方領土を奪ったんですか?」。函館市の小学4年、会津柊介(あいづ・しゅうすけ)君(9)の疑問です。社会の授業で領土問題を学んだそうです。古くから日本人が住んでいた国後、択捉、色丹、歯舞の北方四島は75年前の第2次世界大戦末期に、ソ連(今はロシア)に占領されました。

 ロシアは日本の面積の約45倍もある世界で最も広い国なのに、なぜ北方領土が必要だったのでしょう。会津君は疑問に思い、「島は自然が豊かなので、いろいろな魚が捕れるからうらやましかったのかな」と考えました。

 では、北方領土の歴史を調べてみましょう。もともと北方四島とその北側にある千島列島にはアイヌ民族の人たちが住んでいました。そこにラッコの毛皮などを求め、南から日本人、北からロシア人が入ってきて、争いが生じます。そのため、日本とロシアは江戸時代の1855年に択捉島とその北側のウルップ島との間に国境線を引くことを決めました。

 ところが第2次世界大戦末期の1945年(昭和20年)、米国などと一緒に連合国の仲間だったソ連が、お互いを攻撃しない約束を破って日本に攻め込みました。日本が負けを認めた後にも、ソ連は攻め続け、四島を占領しました。これが北方領土問題の始まりです。四島で暮らしていた約1万7千人の日本人は強制的に追い出されてしまいました。

 日本は北方四島が一度も外国の領土になったことがない「日本固有の領土」だと主張しています。ロシアが決まりを守らずに「不法に占拠した」として、返すよう求めてきたのです。

 しかし、ロシアは「大戦の結果、ロシア領になった」と正当性を主張し、譲りません。第2次大戦で2千万以上の人が亡くなったロシアにとって、北方領土は小さくても、戦争に勝って得た大事な土地とみられています。

 四島を追い出された日本人の元島民は各地に散らばりましたが、多くは島が見える根室市に移り住んでいます。戦後75年がたち、その元島民のうち1万1千人以上が亡くなりました。残る約5700人の平均年齢は約85歳で「生きているうちに故郷に戻りたい」と焦っています。北方領土問題が一日も早く解決することを願うばかりですね。(東京報道 仁科裕章)

■既に70年以上 3世代家族も

 北方四島はいま、実際にはロシアのサハリン州に管理されていて、ロシア人約1万8千人が暮らしています。豊かな自然に加え、近年は新しい空港や工場、観光施設などが相次いで造られています。住民の「日本に引き渡したくない」という声は高まっています。

 色丹島には昨年、魚を加工する「ロシアで一番大きい」という工場が完成しました。周辺に豊かな漁場が広がる島々は、魅力ある存在です。択捉、国後両島には軍隊がいて、ロシアの国の安全を守るためにも重要と考えられています。

 四島にロシア人が住むようになって70年以上がたち、一家3世代以上の家族もいます。そこで生まれ、学校に通い、働くロシア人にとっても、島は「故郷」となりつつあります。(ユジノサハリンスク駐在 細川伸哉)

■互いの理解 解決の一歩

 北方領土問題を解決するため、安倍晋三首相とロシアのプーチン大統領は2018年11月、「平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」と書かれた1956年の「日ソ共同宣言」を基礎に話し合いをスピードアップさせていくことを約束しました。

 しかし、残念ながら交渉は進んでいません。日本とロシアの主張が対立していることに加え、ロシアが自分の領土を守る姿勢をさらに強めているからです。1日の国民投票でロシアの憲法改正が決まり、「領土を他の国に譲り渡してはいけない」という条文が追加されました。日本に島を返してもらうことがより難しくなると心配されています。

 ただ、ロシアは日本の隣の国であり、問題は一日も早く解決する必要があります。まずは今回の質問のように、相手の国の考え方にも興味を持ち、日本とロシアの国民が互いに理解を深めていくことが、解決の第一歩になると思います。(モスクワ駐在 小林宏彰)

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