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強制不妊報告書 医学会は謝罪し検証を

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 旧優生保護法下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、医学系の136学会でつくる日本医学会連合の旧法検証のための検討会が報告書をまとめた。

 医学・医療関係者が被害救済に直ちに行動を起こさなかったことに「深い反省と被害者らへの心からのおわび」を求めている。

 子どもを産み育てる権利を奪われた人たちの痛苦は筆舌に尽くしがたい。命を守るべき人たちが「命の選別」を行って放置してきた責任は極めて重い。

 被害者に謝罪し、過ちを繰り返さないための一歩とすべきだ。

 1948年施行の旧法は「不良な子孫の出生防止」を掲げ、約2万5千人に不妊手術を強いた。北海道は最多の2593人に上る。

 96年に母体保護法に改正され、不妊手術の規定は撤廃された。98年には国連から被害者救済の勧告を受けたが、放置されてきた。

 2年前に仙台や札幌などの被害者が国賠訴訟を起こさなければ、闇に葬り去られたことだろう。

 報告書は「医学・医療関係者が旧法の制定に関与し、運用に携わり、人権思想浸透後も法律の問題性を放置してきたことは誠に遺憾」と表明した。

 全国被害弁護団は「時間はかかったが、責任を認めたのは評価したい」と述べた。裁判所は重く受け止めてほしい。

 国会も今月から旧法の立法経緯や被害の検証を始めた。医学会も積極的に協力する責務がある。

 問題なのは報告書の内容が新事実に乏しいことだ。申請は主に精神科医で、手術は産婦人科や泌尿器科、外科の医師が行っていたとされる。加盟学会も含め徹底的に検証し教訓を示す必要がある。

 優生思想は過去のものではない。胎児の染色体異常を調べる出生前診断やヒト受精卵の遺伝子を改変するゲノム編集など、優生思想の観点から危惧する声が強い。

 再び非倫理的な方向に進まぬよう、報告書は「学会横断的な検討組織」が必要だと訴える。

 70年代、欧米では優生思想を反省し同様の法律を廃止したが、日本の医学会は反省が希薄で議論が学術界内部にとどまったと指摘した。検討組織は幅広い分野から英知を集める必要があろう。

 16年に相模原市で障害者ら45人が殺傷された事件で、犯人は「障害者は生きている意味がない」と繰り返したが、それは違う。

 命は存在するだけで価値がある。その認識を共有し、誰もが生きやすい社会を築かねばならない。

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