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<みなぶん>2018年12月開通の後志道 1年半で補修4回も

 「開通したばかりなのに、なぜ舗装を補修してるの?」。北海道横断自動車道の小樽ジャンクション(JCT)―余市インターチェンジ(IC)間(後志道)を今月上旬、車で走行した札幌市の30代女性から、「みなぶん特報班」に疑問が寄せられた。後志道は2018年12月に開通。取材すると、舗装の張り替え工事が相次いで行われていることが分かった。

■日陰で凍上誘発?/路盤材影響か

 疑問を受けて間もない9日、後志道に向かった。札幌方面から小樽市内に入り、小樽JCTを通過して天狗山トンネルを抜けると、工事中の看板があった。片側2車線のうち1車線を規制し、舗装を張り替えていた。工事区間は後志管内余市町との境界近くにある小樽塩谷IC付近までの約1キロ。12日で工事は終了したという。

 道路を管理する東日本高速道路(ネクスコ東日本)北海道支社によると、後志道は開通直後から一部の路面で凸凹ができ、複数の利用者から苦情が寄せられた。いずれも天狗山トンネル―小樽塩谷IC間の約2キロの区間で、補修工事をこれまでに4回行ったという。

 最初の工事は昨年2~3月で、路面を削って平らにする応急処置を施した。その後は昨年10月と今年5~6月にかけて計3回舗装を張り替えた。4回の補修工事の総延長は、応急処置後に舗装を張り替えた1・3キロの重複区間を含め、上下線で計5・4キロに達した。

 なぜ凸凹ができるのか。同支社は「厳冬期の気温低下で路面下が凍結し、舗装面が持ち上げられたとみられる」と説明。地中凍結で地表が隆起する「凍上(とうじょう)」が発生した可能性があるとする。

 凍上は、道路の周辺環境によって発生する。後志道の補修区間の多くは、山を削る「切り土工法」で道路が造成されている。北海道科学大の亀山修一教授(道路工学)は、道路脇が切り立っていると路面が日陰になりやすく、冷えやすいことを指摘し、「切り土の道路は凍上が起きやすい」と言う。

 一方、後志道はアスファルト路面の下に敷く路盤材に、道内の他の高速道路では使われていない「製鋼スラグ」が採用されており、これが原因との見方もある。

 製鋼スラグは、高熱で行う製鉄の過程で生まれる副産物で、強度が高いとされ、工事用資材などに活用される。路盤材に一般的に使われるのは、岩や石を砕いた砕石材だが、同支社は「試験で製鋼スラグでも凍上が起こりにくいことを確認し、供給能力や価格を総合的に判断して使用した」とする。

 だが、道内の土木関係者は「製鋼スラグは長時間かけて徐々に冷やしながら固めていくが、今回は冷却が十分ではなく、施工後に土中の水分を含んで膨張した可能性があるのでは」と指摘。同支社は、製鋼スラグが凸凹の原因の可能性もあるとして、舗装の張り替え工事に当たって路盤材を砕石材に取り換えている。

 後志道はネクスコ東日本が1182億円を投じて建設。舗装張り替え工事は高速道路全体の維持費で対応しており、個別の工事費は示せないという。同支社は「利用者にご迷惑をお掛けした。今後も安全に道路を利用できるよう努めていきたい」としている。(門馬羊次)

<ことば>後志道 札樽自動車道の小樽ジャンクションから分岐し、余市インターチェンジ(IC)までの延長23・3キロ。開通により、札幌中心部から後志管内余市町までの所要時間は55分となり、従来より19分短縮した。同管内倶知安町まで延伸する計画で、余市ICから倶知安ICまでは国の事業として着工している。開通時期は未定。


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