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「コロナ派遣切り」深刻化 道内の実態見えず 日雇い化の恐れ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で厳しい経済状況が続く中、派遣社員が解雇・雇い止めされる「派遣切り」が深刻化している。ただ北海道労働局は、失業者全体の中に派遣社員がどれだけいるか集計しておらず、雇用対策の前提となる実態は見えにくい。失業者が、雇用がより不安定な、1日限りの「日雇い派遣」で働く例もあり、雇用情勢に暗い影を落とす。派遣社員が雇用の調整弁として扱われ続ける恐れもあり、専門家は「早急な実態把握と対策を」と指摘する。

 「使い捨てられた」。札幌市東区のコールセンターに派遣されていた同市北区の二階堂理さん(62)は5月10日、雇用契約期間を1カ月以上残して事実上の解雇となった。

 休業補償はなく、「次の職場を探す」と言っていた派遣元の企業の担当者とは連絡が取れない。週5日、時給1350円でフルタイム勤務してきた収入は途絶え、貯金を取り崩す生活が続く。

■未払い賃金要求

 コールセンターでの業務は、小売店から顧客宅への商品配送に関わる個人情報の確認だったが、新型コロナの影響により業務が激減。同じ職場で働いていた約30人のうち、半数以上が派遣切りに遭ったという。二階堂さんは人材派遣会社4社に登録しているが、仕事は入らない。「滑り台から滑り落ち、元に戻れないような働き方。もう、精神的に限界」と嘆く。

 二階堂さんは個人加盟できる労働組合「札幌地域労組」(札幌)に入り、派遣元の企業に未払い賃金の支払いなどを求めて団体交渉を申し入れている。同労組の三苫文靖書記長は「雇用契約期間中に突然解雇するのは許されない。公的な雇用維持制度をきちんと活用すべきだ」と強調する。

■「5月危機」の懸念

 派遣社員は、企業の四半期決算に合わせて3カ月ごとに雇用契約を更新されることが多い。4月に新規契約または更新した派遣社員が6月末で解雇・雇い止めとなる場合、1カ月前の5月末までに通告を受ける。今後、失業者が急増する「5月危機」が懸念されており、実際、道内の労組幹部は「派遣社員の相談が5月に入り増えた」と警戒する。

 北海道労働局によると、5月22日までの約3カ月で道内で少なくとも673人が解雇されたが、派遣社員の内訳は把握していない。道内の派遣社員は2018年度で3万8223人、派遣元の人材派遣の事業所は今年3月末現在、1436社で、道内の人材派遣会社幹部は「コロナ禍で失業した人が続々と派遣に流れ、日雇い派遣になっている」と明かす。

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