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地上イージス 必要性を再考すべきだ

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 政府は弾道ミサイルに対応するための地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」について、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場への配備を断念した。

 レーダーの設置予定地は住宅地に近く、電磁波による健康被害や有事に敵の標的になる懸念などから、地元が強く反対していた。

 加えて、新屋を適地とした調査には重大な誤りがあった。

 それを踏まえれば、政府の判断は当然の結果だ。

 そもそも地上イージスに対しては、運用次第で憲法の制約を超えた敵基地攻撃能力を有するとの指摘がある。

 防衛省は日本の東西に1基ずつ配備し、計2基体制で全土をカバーする方針だが、運用を含めた費用は5千億円を超すとみられる。

 導入の背景には、トランプ米政権から米国製の武器を大量購入するよう迫られていることもある。

 北朝鮮の核・ミサイル開発に対する脅威はなお続いているが、新型コロナウイルス対策で大規模な財政出動が必要な時だ。費用対効果を含め、ミサイル防衛のあり方を根本から再考するべきだろう。

 見過ごせないのは、新屋断念と同時に、政府が同じ秋田県内を軸に再選定の調整に入ったことだ。

 東日本の配備地を巡っては、防衛省が不適とした地点の調査データを誤って記載するなどし、新屋を適地とした根拠が揺らいだ。

 さらに住民説明会では防衛省職員が居眠りをして反発を買った。

 一連の失態は、客観的なデータや政策手続きを軽んじる防衛省の体質を表していよう。

 調査の不備などを受け、防衛省は秋田、青森、山形3県の国有地を対象にゼロベースで選び直すとしたが、再調査はまだ終わっておらず、秋田県内の自治体や住民らとの調整も何ら進んでいない。

 にもかかわらず秋田に固執する姿勢からは、配備ありきの国の方針が透ける。沖縄への基地集中と同様、国防を理由にした一方的な政策の押し付けは許されない。

 弾道ミサイルの技術開発では、各国がしのぎを削っている。

 北朝鮮は迎撃されにくい変則的な軌道を取るミサイルを開発し、中国やロシアはマッハ5を超える極超音速型の実用化を急ぐ。

 日本の地上イージス運用は2025年度以降の見通しで、その間も技術競争が続く。

 地上イージスが有効に機能するか再精査するとともに、外交による平和構築も改めて強化するべきではないか。

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