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中小企業、支給要件の休業手当出せず 雇用助成金申請諦め 労働者にしわ寄せ

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で従業員を休ませた事業所に対し、従業員への休業手当を国が補填(ほてん)する「雇用調整助成金」(雇調金)の活用が進まない。道内では2月中旬以降、5月15日までに北海道労働局に寄せられた相談延べ1万9444件のうち申請は5%で、支給が決まったのは2・6%。雇調金は事業所が休業手当を支払った後でないと支給されないのが主な要因とみられ、資金繰りがうまくいかずに申請を断念する事業所が出ている。労務管理がずさんで休業補償を後回しにするケースもあり、労働者にしわ寄せが生じている。

 「人件費を削って経営はぎりぎり。雇調金を受ける前に休業手当の資金を用意するのは難しい」。道央で青果店を営む50代男性は苦渋の表情だ。売り上げが半減し3月からパート従業員ら6人を休ませている。収入半減の事業所に支給される国の持続化給付金は5月初めに申請したが、最大200万円の振り込みは来月まで待たねばならず「店の家賃や光熱費などの支払いで精いっぱい」と漏らす。

 雇調金は、業績悪化による失業を防ぐため国が休業手当を助成する。政府は新型コロナによる経済悪化を受け、特例で助成率を引き上げ、大企業で4分の3、中小企業で10分の9にした。自治体の休業要請に応じた中小企業が賃金と同額分の休業手当を支払った場合は全額助成にした。さらに手続きを簡素化し、申請時の休業計画提出を不要にした。だが休業手当を支払ってからでないと支給されない「後払い方式」は変わらない。

■台帳ない事業所も

 15日までの2万件近い相談のうち申請は991件(5%)。支給が決まったのは522件(2・6%)。雇調金を必要としているとみられる事業所のほとんどが制度を利用できていない。全国では21日現在、申請が相談件数の9・8%、支給決定が4・9%。道内の労働組合幹部は「中小企業はもともと経営体力が弱い。助成の前に休業手当の資金を準備できない実情もあるのでは」とみる。

 また手続きは通常より簡素化したとはいえ、申請には休業実績の書類や出勤簿、売上簿を添付する必要がある。申請業務を代行する道内の社会保険労務士法人によると、中小企業では雇用契約書や賃金台帳の未作成など労務管理が不適切な事業所が少なくないといい、この法人の幹部は「休業補償の根拠となる実態が把握できない」と明かす。

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