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<追跡2020>ネットビジネス、未成年にリスク 年収1000万円・道南の少年が監禁被害 没頭し「金銭感覚狂ってた」

 インターネットの会員制交流サイト(SNS)にアカウント(使用権限)を持ち、ネットビジネスをしていた道南の少年(18)=当時高校3年=が、競合相手の少年3人から脅されてアカウントを削除される事件が昨秋、明らかになった。道南の少年は当時、広告収入で年1千万円を稼いでおり、加害者たちはアカウントを消し、顧客を奪う目的で監禁した。被害者の少年は「ネットの世界に入り込み、金銭感覚がまひしていた」と振り返り、少年間で行われるネットビジネスの危うさが浮き彫りとなった。

 「僕も、きっと競合相手も、最初は純粋にネットで人気者になり、フォロワー(閲覧者)を増やしたかっただけ。いつの間にかお金を稼ぐのが楽しくなってしまった」。被害に遭った少年は当時の心境を語った。

 事件は昨年2月に発生。SNSの通信アプリ「LINE@」にアカウントを持っていた道南の少年は、当時高校3年だった東京都内の少年ら3人から「アカウントを5千万円で買い取る人がいるので仲介する」と架空の話を持ちかけられた。JR東京駅前に呼び出されて乗用車内に監禁された上、「いつでも沈めることができる」と言われて管理パスワードを聞き出され、アカウントを削除された。道南の少年は警視庁に被害を訴え、同庁は昨年9月、監禁などの疑いで3人を逮捕した。

■閲覧者巡り争い

 事件の背景には、閲覧者獲得を巡る争いがあった。

 「長続きするカップルの特徴7つ」「韓国アイドルグループ人気順」―。少年は当時、「LINE@」に四つのアカウントを設け、恋愛事情や芸能人、ダンスなどさまざまな話題を発信し、計約200万人の閲覧者がいた。逮捕された少年も別のアカウントを持ち、両者とも、年1千万円ほどを稼いでいた。逮捕された少年は調べに対し、「自分たちの収入を伸ばそうとした」と供述し、競合相手の閲覧者を取り込む狙いがあったとみられる。

 少年たちが行っていたビジネスの方法はこうだ=図参照=。まず、LINE@で小中高生が好みそうな話題を「まとめ情報」として発信、同時に自身が運営するブログのURLを掲載する。内容に興味を持った閲覧者がブログを見て、ブログ内の企業の広告をクリックすると報酬が得られる。クリック1回の報酬は5~10円だった。

 道南の少年がスマートフォンを使い始めたのは中学3年の時。同級生がスマホでLINE@を使っており、少年も自分のアカウントを作った。韓流アイドルなど話題になる情報を発信すると、次々閲覧者が増える面白さにのめり込んだ。

■10人雇って稼ぐ

 事件の約1年前からブログに靴や漫画のネット配信などの広告を載せ始めた。ネット上で知り合った男女10人ほどを雇い、LINE@やブログの情報更新を依頼。最初は月15万円ほどだった広告収入は次第に増え、最高で月120万円を稼ぐ時もあり、仲間で分配していた。少年は当時、70万円のバイクを自ら購入したという。少年の下でブログを執筆していた函館市内の女子高校生(17)は「グループのメンバーの多くが高校生だった」と証言した。

 事件後、少年はネットビジネスはやめた。「助けてくれた刑事に憧れた」と明かし、現在は警察官を目指し試験勉強に励む。「ネットに詳しい自分だからこそ、人に役立てることがあると思う。ネット犯罪の被害者を減らしたい」(田中華蓮)

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