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酪農の危機 道民みんなで支えたい

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 新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の長期化で、道内の酪農家が生産する生乳が行き場を失う恐れが強まっている。

 小中学校の一斉休校、道民に対する外出自粛要請や休業要請の影響を受けて、学校給食用の牛乳や業務用のバターなどの需要は落ち込んだままである。

 飲用向けの生乳を、日持ちのするバター、チーズなどの加工向けに振り向ける需給調整も限界に近い。このままでは生乳廃棄という最悪の事態につながりかねない。

 道民一人一人が消費を下支えする意識を強め、地元の生産者を応援していくことが大切だ。

 2019年度の道内の生乳生産量は前年度比3%増の409万トンと400万トンを初めて超え、国内の生産量全体に占めるシェアは55・6%と過去最高に達した。

 経営規模拡大や良質な飼料の確保により、酪農家の増産意欲が高まっていた。それだけに新型コロナ禍が及ぼす打撃は深刻である。

 3月に始まった一斉休校で給食用牛乳の需要が失われたが、ホクレンと乳業各社が市販用牛乳やバター、チーズ向けに原料を転用することによって、何とか生乳の需給バランスを保ってきた。

 問題は、4月以降の外出自粛と休業要請で、飲食店、ホテル、土産用の菓子製造など業務用の需要が消滅してしまったことだ。

 業務用のバターや生クリームなどの需要は国内の生乳生産量の半分を占める。その供給の大半を担ってきたのが北海道である。

 酪農家は、需要が落ち込んだからと言って生乳の生産は減らせない。搾乳をやめると乳牛が乳房炎を発症してしまうためだ。

 道内の生乳生産は現在、最盛期にさしかかっており、利用先のない生乳が大量に出れば、廃棄せざるを得なくなる。業界と行政が協力し、需給調整と消費拡大の努力を続けなければならない。

 行政と生産者団体が「もう1杯多く消費を」と呼びかけた効果で家庭の牛乳消費は伸びている。

 その一方で、バター製造の副産物の脱脂粉乳の在庫は過去最高水準に達しており、発酵乳や乳飲料の消費喚起も必要だ。

 農林水産省は脱脂粉乳の本年度輸入枠を4千トン(製品換算)に設定しているが、ゼロに見直すのが妥当だろう。

 道内の酪農業は地域の重要な産業であり、国内の乳製品供給を支える重責も負う。道民全員が少しずつでも消費を増やす意識を持つことで、難局克服に協力したい。

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