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【高田礼人さん】 ウイルスの感染メカニズム解明に挑む北大教授

 呼吸器感染症の世界的大流行(パンデミック)を引き起こしている新型コロナウイルス。感染者400万人、死者30万人を数え、人類はかつてないほどウイルスへの関心を高めている。人を死に至らしめることもあるウイルスとは何者なのか。世界各地を飛び回り、エボラやインフルエンザなど動物を介して人にも宿るウイルスの感染メカニズム解明や治療薬開発に挑む世界有数の「ウイルスハンター」の一人、北海道大人獣共通感染症リサーチセンターの高田礼人教授(51)にその正体を聞いた。(報道センター 内山岳志)

■野生動物と静かに共生 人類との遭遇増え脅威に

 ――ウイルスを「生命体」と呼んでいますね。

 「ウイルスはタンパク質を作る設計図と言えるDNAやRNAといった遺伝子を持っている点で、生物と共通しています。一方、細胞があって栄養源があれば自ら増殖できる『生物』とは異なり、生命活動に必要なエネルギーを生み出す代謝能力を持っておらず、自ら分裂して増殖することができません。だからウイルス一つ一つはただの物質で、増殖するには宿主となる他の生物(細胞)が必要となります。ひとたび宿主の中に入り込むと、その細胞の代謝能力などを利用してウイルスを構成するタンパク質と遺伝子を作らせ、自己複製を始めます。私はこうしたウイルスの生物的な面に着目して『生命体』と呼んでいます」

 ――不思議な存在ですね。

 「中には自らの遺伝子情報を宿主の遺伝子に組み込んでしまい、世代を超えて宿主の遺伝子に内在化して引き継がれるウイルスの遺伝子もあります。実際、人の遺伝子情報の8%は過去の感染の痕跡といえるウイルス由来であると言われています。人の胎盤形成に不可欠なタンパク質を作るのに重要な役割を果たしているものもあり、ウイルスは悪さをするものばかりではありません」

 ――ウイルスは病気を起こすだけではないのですね。

 「ウイルスを怖いと感じるのは、病原性のあるウイルスばかり研究されてきたからです。ウイルス自体は何の目的も悪意もありません。単に自らの遺伝子を残すために人や動物に宿っているのであって、感染イコール病気ではありません。乳酸菌などの細菌が腸内で人に必要な作用を担っているように、ウイルスが宿主生物と共存し、体に良い作用を担うこともあり得るのです」

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