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種苗法改正案 農家の負担軽減求める

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 道産米「ゆめぴりか」のように日本で開発され、品種登録された穀物、野菜、果物の種苗の不正な持ち出しを禁じる種苗法改正案の国会審議が近く始まる。

 農産物の登録品種は国や都道府県の研究機関が時間と経費をかけて開発した重要な知的財産だ。

 現行法には海外流出を規制する条項がなく、法改正によって優れた国産ブランドの保護を図る趣旨は理解できる。

 一方で懸念も生じている。農家が登録品種から種を取るなどして自家増殖する行為も規制されてしまう点である。

 作物からの種取りや株分けは、長年認められてきた農家の権利だ。現場の生産意欲を奪うことのないよう、制度運用の在り方について議論を尽くしてもらいたい。

 改正案は、登録品種の開発者に対し、輸出してもよい国・地域を指定する権利を認めた。

 これを侵害し、不正流通に関与した個人には、懲役10年以下または罰金1千万円(法人は3億円)以下の罰則が科せられる。

 日本の農産物のおいしさが海外に広く知られるようになり、不正な国外流出は後を絶たない。

 2006年にはブドウの「シャインマスカット」の苗木が中国に持ち出され、現地での生産品が格安で流通している例もある。不正に歯止めをかけるための制度改正は必要な措置であると言えよう。

 気がかりなのは、農家の自家増殖についても開発者の許諾を得なければならなくなることだ。

 登録品種の割合は全体の1割未満で、それ以外の一般品種は自由に自家増殖できる。登録品種にしても大半は公的機関が開発者であり、低廉な許諾料を支払うことで自家増殖の継続は可能である―。

 これらの点から農林水産省は現場への影響は限定的と説明するが、果たしてそうだろうか。

 安倍晋三政権は2年前、コメなどの種子開発を都道府県に義務付けた主要農産物種子法を廃止し、公的機関の知見を海外資本を含む民間に引き渡すよう促してきた。

 一連の安倍農政の流れを見れば、海外の巨大種苗企業が日本で品種登録し、高額な許諾料を設定する事態が頻発しかねない。

 農業従事者が減少し、食料自給率が低迷する現状にあって、農家の負担をこれ以上増やさない仕組みづくりが求められる。

 やみくもに民間開放を進める発想を転換し、品種開発で成果を上げてきた都道府県を改めて後押しする制度も必要ではないか。

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