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巣ごもり介護疲弊 施設休業、深まる孤独 支援団体「悩み相談して」

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の波で、介護サービスを利用する高齢者が在宅を余儀なくされ、家族も負担の増加に直面している。感染防止を理由にしたサービス縮小や感染者発生に伴う休業で、外出機会を失った高齢者が認知機能を低下させたり、家族が外部に頼れないまま心身の調子を崩したりする例も報告される。感染症の壁で支援には制約もあるが、危機感を募らせる支援団体は電話窓口を開設し、「悩みは抱え込まずに相談して」と呼び掛けている。

 「このままでは共倒れになる」。札幌市西区の自宅で認知症の母(79)を介護する自営業の女性(54)は訴える。4月中旬、母が週2回通っていた通所施設から、同居人がいる利用者は感染予防のために通所を控えるよう求められた。

 母は転倒が多く、物を置いた場所を忘れて「盗んだ」と女性に当たることもあり、一時も目が離せない。外出がないため昼夜が逆転して夜中に動き回り、薬を飲み間違えるなど認知症状も進んだ。ケアマネジャーには相談しているが、出口が見えない不安もある。

 心身疲れ切った4月末、電話で兄の声を聞いた瞬間、ふっと緊張の糸が切れた。「もう限界なんだよ」。気がつくと、既に切れている電話口に向かって、泣きながら大声で叫んでいた。

 政府が緊急事態宣言を延長したことで、サービスを縮小したり、休業したりする施設はさらに増えかねない。「家族という私的な空間での介護で、孤独な思いをする人はもっと増える」と女性はつぶやいた。

 厚生労働省によると、4月13~19日に全国で通所施設や短期宿泊の介護事業所計858カ所が休業した。

 同市豊平区の南平岸内科クリニック(心療内科・神経内科など)には2月末に道が独自に緊急事態を宣言した以降、介護者からの相談が一気に増加した。50代の女性は、通所施設の休業で外出できずにいら立つ80代の認知症の父親に初めて大声を上げてしまい、「ひどいことを言った」と涙を流したという。

 女性はこの数年、仕事の傍ら、外出が好きな父の散歩や外食にもできる限り付き添ってきた。クリニックの野呂浩史院長は「平時からギリギリの状態で介護している人がほとんど。新型ウイルスが、社会の脆弱(ぜいじゃく)な部分をあぶり出してしまった」と指摘する。

 「北海道認知症の人を支える家族の会」(事務局・札幌)にも4月以降、「同じことを何度も聞かれ、強い口調で返してしまった」「ニュースを自分の身に起きたことと思い込み、不安から何度も呼び出される」など家族からの相談が寄せられ始めた。

 同会は月2回、家族らの集いを開き、悩みや解決策を共有してきたが、感染の影響で4月以降は休止に。西村敏子事務局長は「感染の終わりが見えず、介護する家族と高齢者本人の不安が高まっている。家族には困りごとをはき出す場所が必要だ」と危機感を募らせ、積極的に同会に電話で相談するよう呼び掛ける((電)011・204・6006、平日午前10時から午後3時)。

 空知管内栗山町社会福祉協議会も7日から週3回、自宅で介護をする人の相談を受ける専門ダイヤルを開設する。介護者が気軽に相談に訪れられる同会運営のカフェは休業を強いられているが、高田宏明事務局長は「高齢者同士の『老老介護』も少なくはない。長期的な支援が必要だ」としている。(岩崎あんり、野呂有里、斉藤千絵)

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